「NON STYLE」石田明 なぜヒリヒリと<漫才とは何か>を追求していた『M-1グランプリ』で奇抜な漫才が台頭してきたのか?「そのきっかけは2010年からの…」
◆新しい漫才の発明 ただ、これは、バラエティ色が強かった「THE MANZAI」を経て起こった突然変異的な変化ではなく、ずっと前に萌芽(ほうが)はありました。 漫才に新しい風をもたらした、いわゆる「システム漫才」の生みの親は、僕の中やとブラックマヨネーズやチュートリアルです。もとを辿れば、こうした新しい漫才の発明が、今の漫才の多様化につながっていると思います。 知ってのとおり、2005年はブラックマヨネーズ、2006年はチュートリアルと、立て続けにシステム漫才がチャンピオンになりました。 さらに2007年のチャンピオンは、サンドウィッチマンでした。前にも話したとおり、サンドウィッチマンの漫才は「設定上の役柄」を演じ切るコント漫才です。 こうして3年連続で伝統外の漫才師がM-1チャンピオンになった。M-1がいったん終了する前にも、すでに新しい潮流は生まれていたわけです。 その延長線で、ロングコートダディ、男性ブランコ、真空ジェシカのような「共闘型」漫才や、ランジャタイ、マヂカルラブリーのような、「被害者─ 加害者」構造は守りながら「見せ方」が奇抜な漫才が登場してきた。 こうして”超多様”大会っぷりが加速しているのがM-1の現在やと思います。 ※本稿は、『答え合わせ』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
石田明
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