「NON STYLE」石田明 なぜヒリヒリと<漫才とは何か>を追求していた『M-1グランプリ』で奇抜な漫才が台頭してきたのか?「そのきっかけは2010年からの…」
漫才日本一を決める『M-1グランプリ』。24年度では「9人審査員制」が採用され、柴田英嗣さん(アンタッチャブル)、哲夫さん(笑い飯)、礼二さん(中川家)、若林正恭さん(オードリー)らが務めることが発表。歴代王者を中心に新しい顔ぶれがそろうなか、注目を集めているのが『M-1 2008』の覇者で、漫才に対する分析が鋭すぎて「石田教授」とも呼ばれる「NON STYLE」の石田明さんです。今回その石田さんの新刊『答え合わせ』から『M-1グランプリ』にまつわるお話を紹介いたします。 スリムクラブ内間 M‐1準優勝も「闇営業問題」で落ちるところまで落ちて。メディアの突撃に嫁と娘を守らず、自分が先に逃げたあの日 * * * * * * * ◆何がM-1を変えたのか M-1は2010年でいったん終了し、2015年に再開しました。 2010年までのM-1は、いうなれば、全出場者がグー・チョキ・パーで勝負する「じゃんけん大会」。どのコンビも、漫才の基本構造にのっとったネタで点数を競っていました。 9年連続で決勝に進出した漫才界のモンスター・笑い飯の漫才も、ボケとツッコミが入れ替わるという形をとっているだけで、「偶然の立ち話」「ボケとツッコミの掛け合い」という漫才の基本構造は守られています。2010年に決勝進出し、独特な間の取り方で驚かれたスリムクラブですら、見せ方が変わっているだけで、漫才の基本構造には忠実でした。 唯一、第2回のM-1では、テツand トモがギターを引っ提げて決勝の舞台に立ちましたが、審査員の(立川)談志師匠は「お前らはここに出てくるやつらじゃないよ」と2人に厳しくも優しい言葉をかけていました。 ところが、5年のブランクを経て再開された2015年以降、かなり様相が変わってきました。 M-1は、グー・チョキ・パーだけでなく、「ガー」とか「チェキ」とか「ペー」とか、今まで見たこともないような手法を見せるコンビが出てきて”超多様”な大会になりました。 いったいその間に何があったのか。そこで見過ごせないのが、2011~2014年に開催された「THE MANZAI」の影響です。
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