野球との違いは?サッカー日本代表躍進の背景に〈選手の英語力〉が欠かせないと言えるワケ
サッカー選手も海外で活躍するには英語は必要
これに対して現在の日本代表の海外組選手は英語、もしくはプレイしている国の言語が話せます。 例えば、バーレーン戦の後では、久保建英選手がスペイン語と英語で海外のマスコミのインタビューに答えていました。また冨安健洋選手も英語で海外マスコミからのインタビューに応じていました。この点でやはり野球とサッカーの本質の違いが表れていると言えると思います。 私は、9月シリーズでの日本代表だった中山選手にお話を伺ったことがあります。所属していたオランダのチーム(PECズヴォレ)の「ディベート形式のミーティング」で英語でのコミュニケーションの重要さを感じたそうです。 中山選手によると、「オランダのサッカーチームのミーティングでは、選手は監督の話をただ聞くだけではなく、意見を積極的に述べる必要がある」とのこと。自身が英語を話せず、議論に入っていけない状況に「チームの一員になり切れていないのでは」と葛藤を感じていたそうです。 また、菅原選手も「喋ってコミュニケーションをとって、例えば生活のことやいろんなプライベートのことを話すことで、もっと仲を深めなきゃいけない」と感じたことがあったそうです。
世界の名将はマルチリンガル
このような野球とサッカーの違いが現れているもう一つの側面としてサッカーの監督の語学力もあります。 将として知られるペップ・グアルディオラは、2008年にバルセロナの監督に就任。初年度でチャンピオンズリーグ、ラ・リーガ、コパ・デル・レイの3冠を達成。その後、バイエルン・ミュンヘンでも国内タイトルを連覇。2016年からマンチェスター・シティを率い、プレミアリーグで複数回優勝、2023年にはチャンピオンズリーグ優勝を果たした。彼は、英語・スペイン語、イタリア語、ドイツ語を駆使することで知られています。 また、2023年からバイエルン・ミュンヘンの監督を務めているトーマス・トゥヘルは、マインツで監督キャリアを開始し、パリ・サンジェルマンではリーグ優勝とチャンピオンズリーグ準優勝を達成。2021年にチェルシーを率いてチャンピオンズリーグ優勝を果たしています。彼も英語・スペイン語・フランス語、ドイツ語を話すのです。 このようなサッカーの名監督は様々な国から集まった様々な言語を話す選手とピッチサイドで額を突き合わせて、直接指示を出しています。やはり通訳を介してでは伝わりきれない要素があるからと考えられます。このことからもサッカー名監督の要件としてマルチリンガルであることと言えるでしょう。