「4.25」米ラスベガスで井上尚弥vsカシメロ3団体統一戦が正式決定!戦略は意外にも「じっくり」「冷静」「クール」
WBA世界バンタム級スーパー、IBF同級王者の井上尚弥(26、大橋)が4月25日(日本時間26日)、米国ラスベガスのマンダレイ・ベイ・リゾート&カジノで、WBO世界同級王者、ジョンリール・カシメロ(30、フィリピン)と3団体統一戦を行うことが31日、都内ホテルで発表された。モンスターの待望の米国本格進出の第一戦は、3階級制覇王者同志の激突で日本人ボクサーとして史上初の3団体統一戦というビッグマッチになった。KO必至の打撃戦が予想されるが、井上は「じっくり、冷静に」と衝撃発言。カシメロ戦に勝てば、世界で過去に4人しかいずバンタム級では初の4団体統一王者へという夢へ大きな一歩を踏み出すことになる。
ゴチャゴチャの打ち合いはしない
ついに決まった。予定されていたカシメロの会見への同席はスケジュールが合わず流れてしまったが、スーツにTシャツという洒落た、いで立ちで記者会見に現れた井上尚弥は、米国・ラスベガスでのビッグマッチの決定に興奮を隠さなかった。 「ラスベガスで3団体統一戦が決まりワクワクしている。早く試合をしたい。3団体統一の試合に意味がある。4団体統一を目指す上で欠かせない試合になる。まずは一発目をあぶなげなくクリアして次につなげたい」 カシメロは、33戦29勝(20KO)4敗の3階級制覇王者でハードパンチャー。乱暴に振り回してくる左右のフックが武器で、井上も、「フィリピン人らしい荒々しさを持って野性味が溢れる選手。危険なハードパンチを持っている。そこに気をつけながら戦っていきたい」と警戒する。 2009年にセサール・カンチラ(コロンビア)に11回TKO勝利してWBO世界ライトフライ級暫定王座を獲得、その後、体重超過失格などがあり、フライ級に転級、2015年にIBF世界フライ級王者、アムナット・ルエンロエン(タイ)に判定で敗れたが、2016年に再戦して4回KO勝利で2階級制覇に成功した。ルエンロエンは4階級制覇王者、井岡一翔が敗れた相手だ。 昨年11月30日に英国で行われた正規王者、ゾラニ・テテ(南アフリカ)との統一戦では、戦前の下馬評を覆して3回TKO勝利でタイトルを奪い、リング上で「モンスター!待ってろ!」と井上を挑発している。 壮絶な打撃戦が予想されるが、井上は意外な戦略を口にした。 「じっくりじっくり。ダメージを与えて削っていきますよ。向こうに合わせて打ち合うことはしない。KO勝利は中盤以降のつもりでいる。でも、何があるかわからないのがボクシング。1ラウンドで終わっちゃうかもしれないし。そこはなり(ゆき任せ)です」 相手の領域で戦わずむやみに挑発や打撃戦に乗らないことにこそ勝機ありーーと睨んでいる。 父で専属トレーナーの真吾氏もキーワードを「冷静」「クール」とした。 「熱くなるんじゃなくて冷静さが欲しい。一緒になってゴチャゴチャ打ち合いをせずに隙や穴をつく正確な判断が必要。熱さとクールさですね。カシメロのパンチを外で外すのか、中で外すのか、打ち終わりをどう狙うか。瞬間、瞬間の判断が大事でオールマイティに構えて対応していきたい。怖さはあるが荒いし隙が多いですから」 カシメロが本能で動く野獣なら精密マシンになる必要がある。 井上も父の「冷静」というキーワードを重ねた。 「冷静さが必要。カシメロは何でもかんでも突っ込んでくるタイプじゃない。駆け引きをしている。3階級制覇でキャリアは十分にある。パワーだけで勝ってきた選手じゃない」 危険を伴う相手であることは承知している。 やるか、やられるかのKO決着は必至のカード。 真吾トレーナーは、「相手がああいうスタイル。KO決着の確率は高いなと思う。1ラウンドにカウンターで終わる可能性も、その逆もあるかも。やってみないとわからない。このレベルになるとね。どれだけ耐久力があるのかもわからないしね」と、正直に話した。