川田利明が経営するラーメン屋の今。「物価高で固定費が1.5倍に。両替の手数料まで…工夫のしようがないからみんな潰れている」
◆コロナの影響 体もボロボロの上に、売り上げも減った。 単行本を出版した翌年、2020年春には新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた。 お客さんの数自体も激減したし、感染防止のために20席あったテーブルのレイアウトを変えて8席に減らしたから、売り上げは単純計算でも3分の1になった。 ランチ営業ではメニューをラーメンと唐揚げに絞るなど仕入れの量を抑えても、経営はいよいよ厳しくなった。 特に夜はお客さんが来ない。だから、開店当時は深夜2時までだった営業時間は段階的に切り上げていった。 最初は21時をラストオーダーにして22時閉店に。そして今は20時30分をラストオーダーにして21時には店を閉めている。 うちだけじゃなくて、多くの飲食店では、新型コロナの時期にしていた「早じまい」を今も続けているのではないだろうか。 コロナの影響は間違いなく今も尾を引いている。
◆小銭の両替 昨年からは物価が高騰して、食材の仕入れ値が全部値上がりした。 輸入品は特に高くなったし、ものによっては倍の値段になった。 揚げものに使う油も倍ぐらい値上がりしたから、看板メニューの唐揚げにも工夫が必要になる。 本当はいつも同じような商品を提供したいけれど、ハンバーグ風唐揚げやメンチ風唐揚げにしたりと知恵を絞っている。 でも、どんどん仕入れ値は上がっていく。 この物価高の中で、ラーメン屋はみんな工夫のしようがないからたくさん潰れているんだと思う。 電気、ガスの光熱費も上がって、うちの店も固定費は2020年以前と比べると、1.5倍にはなっているね。 両替の手数料も高くなった。 銀行で10円硬貨を500枚両替するのに400円もかかるようになり、なるべく10円硬貨が出ないようにメニューの料金を改定させてもらった。 たとえば、看板メニューの「カレー白湯ら~めん」は以前は普通盛りが850円、大盛りが950円だったけれど、大盛りを標準にして1000円にした。 小銭の両替が経営に影響するなど、開業当初は露ほども思っていなかった。 ※本稿は、『プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る』(宝島社文庫)の一部を再編集したものです。
川田利明
【関連記事】
- ブルース・リーを知る男・倉田保昭が悪役として躍動する『帰って来たドラゴン』。日本のカンフー・マスターにくぎ付け
- ゲーセンの常識を破壊した『スト2』キャビネット型対戦台の衝撃。「スコア文化衰退」から「格ゲー」による黄金期までを振り返る
- 北斗晶 使わないものは買わなくていい。ジャージ生活の反動で若い頃は散財したけれど、年を重ねて、お金や持っているものを大切に使おうと思うように
- 北斗晶 「節約上手」ではなく、メリハリをつけて使う。ドーンとお金をかけた家も、夫・健介がこまめにメンテナンス。畑を買って野菜を育て
- 追悼 元横綱・曙太郎が54歳の春に逝く。外国人力士で史上初の横綱に。「花のロクサン組」若貴兄弟の壁になり激闘を繰り広げた