なぜ大迫勇也はブレーメンでゴールを量産できているのか?
「代表では中心としてずっとやっているから、結果というものをしっかり出さなきゃいけない責任感がある。そこは自分自身にプレッシャーをかけながら、プレーするだけだと思っている」 心技体を充実させている大迫は相手の脅威になり続け、味方には安心感と信頼感を与える。たとえば6月9日のエルサルバドル代表戦で、トップ下としてフル代表デビューを果たした18歳の久保建英(RCDマジョルカ)は、1トップに入った大迫が放つ存在感に声を弾ませている。 「大迫選手は誰が見てもわかる通り(実力が)ひとつ抜けていますし、何でもできるというか、ボールもつなげるし、前も向ける。あんな選手が横にいたらやりやすい、というのが素直な感想です」 久保が放った初めてのシュートは、ピッチ中央で大迫が浮き球のボールを収める瞬間に右サイドを駆け上がり、スルーパスを呼び込んだ動きから生まれていた。味方に使われるだけでなく、味方を使うプレーにも長けた大迫がさらにスケールアップすれば、新たな化学反応が生まれる確率が高まる。 「ドイツでプレーしている方がもう長いけど、嬉しいですよ。一番点を取っているスタジアムなのでイメージがいいし、明日も取れれば」 いま現在に連なる再出発の地となった、カシマサッカースタジアムでのパラグアイ戦を終えれば、2022年のカタールワールドカップ出場をかけた戦いが始まる。前回ロシア大会への第一歩となったアジア2次予選を振り返れば、大迫自身は実は1試合しか経験していない。 まさかのスコアレスドロー発進となった、2015年6月のシンガポール代表との2次予選初戦。大迫は後半途中から投入されたものの結果を残せずに埼玉スタジアムのピッチでうなだれ、前述したように直後から約1年5か月もの空白期間が生まれている。 「相手どうこうよりまずは自分たちにベクトルを向けて、やるべきことを整理して、いい準備をして試合に臨むだけだと思っています。ピッチコンディションを含めていろいろな環境の問題などがありますけど、経験ある選手が多いので、そこは大丈夫だと思います」 同じ轍は二度と踏まない。インドシナ半島西部のミャンマーの旧首都ヤンゴンへ舞台を移し、10日から幕を開ける長丁場のアジア2次予選へ。そして、その先に待つ最終予選へ。カタールでの戦いを見すえながら、上手さに怖さを融合させた大迫が森保ジャパンの攻撃陣を力強くけん引していく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)