インシデント管理の市場でオープンソースが急速に台頭
システム障害やアプリケーションエラーの検出と対応でIT部門を支援する「インシデント管理およびインシデント対応」ツールの市場には、PagerDutyなどいくつかの大手商用メーカーが存在する。その中には、「オブザーバビリティ」(可観測性)を前面に押し出した製品を手がけるDatadogやDynatraceなどの各種メーカーも含まれる。 だが、この市場でもついにオープンソースソフトウェアのアプローチが採用されつつあると、JPMorgan Chase & Coのソフトウェアアナリストらが公開したレポートで指摘した。レポートによれば、「AIOps」など業界の新たなアプローチの波に乗って登場したオープンソースの製品が、PagerDutyやその他の企業に本格的な勝負を挑んでいるという。 PagerDutyに代わるオープンソース製品の台頭 「オープンソースの世界でも大きな進展が見られる」と語るのは、JPMorganのアナリストであるPinjalim Bora氏だ。 Bora氏はそうしたオープンソースのスタートアップの例として、ニューヨーク市に本拠を置くRaintankを挙げた(同社は現在、Grafana Labsと社名を変えて事業を展開)。Grafanaは「オープンソースプロジェクトとしてのオンコールソリューション」を提供し、「セルフマネージド環境やオンプレミスデプロイ環境では無料で利用できる」ようにしている。また、オープンソースではないクラウドベースのマネージドサービスの販売も手がけている。 JP Morganは2022年、Grafanaの2億4000万ドル(約377億円)の資金調達ラウンドに参加した。FactSetによれば、Grafanaはこれまで、Coatue ManagementやLightspeed Managementなどのベンチャーキャピタリストから、合わせて8億4000万ドル(約1320億円)の資金を調達しているという。 Bora氏に言わせれば、オープンソースの台頭は、インシデント対応ツールが数年前から急増している要因の1つに過ぎない。この市場に存在する製品は、2022年初めの段階ではオープンソースとクローズドソース合わせて70程度だったが、今では100以上に増えており、「大企業向け製品を提供するベンダーの数は、同じ期間で15社から30社に倍増した」と、同氏は述べている。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。