「僕らの力でなんとかしたい」かつての米どころは耕作放棄地に…地元高校生が“棚田保全”にかける情熱
南海放送
南海放送が2年前から継続取材している愛媛県西条市の「千町の棚田」。耕作放棄が進む中、地元の高校生が保全活動を進めています。今年も実りの秋となり、迎えた稲刈りですが、その稲がまさかの事態に!?千町の棚田の秋です。
西条市旧加茂村。山の斜面に幾重にも連なる石積みの棚田。かつて県内有数の米どころとしてその名を馳せていた千町の棚田です。2300枚あった棚田は高齢化と過疎化で、今はその8割が耕作放棄地となっています。
この夏、稲の天敵「ヒエ」の駆除作業を行っていたのは、西条農業高校の「棚田チーム」。千町の棚田で稲の栽培を行うほか、美しい棚田の風景、そして現状を知ってもらおうと活動しています。
棚田の8割が“耕作放棄地”となった経緯は
棚田チーム 得居大次朗さん: 「きょうは棚田を散策しながら、みんなで棚田のことを知ってもらおうと」 この日千町の棚田に集まったのは、棚田チームと西条に住む人たち。棚田の役割を知ってもらうために、年6回開いている環境学習会です。
得居さん: 「これが棚田の絶景スポットなんですけど」 生徒達が案内したのは棚田が一望できるおすすめの場所。 得居さん: 「見てもらったらわかるんですが、下の方の棚田は整備されているんですけど、上の傾斜が急にきつくなって機械が入れないから棚田の(手入れ)ができなくなってるのが現状です」
成高久豊先生: 「昔は米をいっぱい作りよったんよ、ここはね。水は豊富一日中日が当たるということで水田が多かったんよ」 棚田チームを率いて10年。西条農業高校の成高先生。 「昔は政府が米を買ってくれてたんやけど、 米が余り過ぎるから米を作るのを減らしなさい、補助してあげるからと言って。そしたら機械の入りにくい所から放置されだした」
昔の姿に一歩ずつ
得居さん: 「ここの水路はいつも水は流れてないんですけど、最近の雨できょうは流れているんで緑のダムの役割を棚田が果たしてくれていて、きれいな水が下に流れている」 山に降った雨を貯めることで「小さな治水ダム」の機能をもつ棚田。チームのメンバーは、棚田には稲作以外の役割があることも伝えていきます。