サッカー日本代表の運命は守田英正で変わった? 最悪の流れになりかけた中で見せた機転とは?【西部の目】
現地時間10日、サッカー日本代表は2026年ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第3戦・サウジアラビア代表との一戦を2-0の完封勝利で終えた。アウェイでの厳しい戦いをものにした日本代表はこれで予選3連勝。アジアの強豪相手にも攻撃的3バックを継続して採用したが、これまでとは違った一面を見せてくれた。(文:西部謙司) 【順位表】2026年ワールドカップ(W杯)アジア最終予選
⚫️9月シリーズとはレベルの違う相手
過去2戦と同じく超攻撃的3-4-2-1システムで臨んだ日本代表。しかし、サウジアラビア代表にボールを運ばれ、これまでの2試合とは違って自陣でのプレー時間も長かった。 本来は相手を押し込んでこそ特徴が出るシステムなので、難しい流れになっていたといえる。しかし、手堅い守備と精度の高い攻撃でゲームをコントロール。決定機を確実に決めて勝利した。 後半、両ウイングバック(WB)を伊東純也、前田大然に代えてからの5-4-1のブロックは固く、サウジアラビア代表の攻撃がトーンダウンしたこともあって、日本代表は試合をコントロールしながら進めている。 超攻撃的布陣が奏功したわけではないが、別の顔をみせることで難しい試合をそう思わせないまま勝ち切り、日本代表の底力を示していた。 前半、これまでの2試合とは全く違う展開になっている。最初から引いて守備を固めた中国代表、バーレーン代表とはレベルの違う相手である。しかも完全アウェイ。この試合に超攻撃的システムで臨むのは少し無理があったかもしれない。 カギを握るのはアタッカーの守備だった。
⚫️左右非対称の守備のキーマンとは?
上田綺世、南野拓実、堂安律、鎌田大地、三笘薫の5人のアタッカーが、ボールを奪われた瞬間に守備に入り、プレスバックとプレッシングで奪い返し、敵陣でのプレーを継続できるかどうか。ファウルで止めてでも簡単に通過させてはいけない。5人のアタッカーを起用する以上、敵陣でプレーしてこそ意味があるからだ。 日本代表の守備への切り替えは速かった。しかし、サウジアラビア代表は個々の技術に優れ、プレスを外して前進する能力があった。ファウルで止めてカウンターを回避することはできてもポゼッションを阻止することはできなかった。 なるべくWBを下げたくない日本代表は、サウジアラビア代表の4-3-3システムに対して、鎌田が相手の右センターバック(CB)にプレス。右サイドバック(SB)を三笘がマーク、フリーになる右ウイング(WG)に対して町田浩樹がスライドしてつかまえる前進守備を行う。 一方、右側は堂安が引いて左WGのサレム・アルドサリをマーク、南野も連動して右側のスペースへ下がる形。左右で異なる守備のメカニズムを行っていた。 堂安の守備力と運動量に期待しての非対称の守備。我慢の時間が続いた堂安だったが、14分には高い位置へ進出。ペナルティエリア右角あたりから逆サイドの三笘へピンポイントのクロスを送り、それを三笘が折り返す。さらに守田英正がヘディングで戻すと鎌田が押し込んで先制した。 堂安は対面のアルドサリにはがされる場面もあったが、キャプテンで攻撃の切り札となる相手をマークしながらも、少ないチャンスを得点に結びつけるなど、守勢になった場合でも攻守に貢献できることが再認識された。