動き始めたglafitの四輪特定小型原付。ボディを水平に保つ技術を搭載した次世代型シニアカー
安全に行動範囲を広げる四輪モビリティの開発
シニア層に向けたモビリティとして、軽自動車よりもコンパクトでコストパフォーマンスに優れる超小型モビリティやミニカーが最近注目されつつあるが、さらに小さく、そして機動力も高い四輪の特定小型原付に期待が集まっている。そうした中、特定小型原付のNFR-01 proや、自転車と原付を切り替えられるGFR-02など、二輪の小型モビリティを開発・販売してきたglafitは現在、四輪の特定小型原付を開発中だ。そのプロトタイプが完成し、2024年7月から実証実験を行なっている。 【写真】まるでバギーのような四輪型 特定小型原付のプロトタイプ(glafit) 高齢者に向けた免許不要の四輪モビリティといえば従来からシニアカーがあるが、原則として歩道走行に限定され、最高速も6km/hに制限されるなど、数km以上の移動手段としては限界と課題がある。 たとえば、実際に長年「セニアカー」を開発・販売してきたスズキはこうした課題をクリアするため特定小型原付に着目し、四輪の「SUZU-RIDE」と「SUZU-CARGO」を開発してジャパンモビリティショー2023に参考出品するなど、多様化する高齢化社会に向けた新たなモビリティを模索する動きは活発化している。 そもそも、幅広い世代で移動の自由を実現することを目的に始まった特定小型原付だが、現在主流のキックボードや自転車のタイプをシニア層が気軽に、そして安全に利用するには高いハードルがある。そんな中、走行安定性を重視した四輪タイプは、高齢者やその家族から開発リクエストが届くほど注目されているという。 特定小型原付の規格は前照灯や方向指示器など保安部品の装着、最高速20km/hや定格出力0.6kW以下といったパワートレーンの制約はあるものの、比較的自由度の高い設計ができる規格。ただ、四輪タイプの開発で課題になるのはボディサイズにまつわる仕様で、普通自転車の型式認定と同じく全長190cm×全幅60cm以内に制限されていることだ。 走行安定性を担保する全幅が狭いことは、車体が横方向へ大きく傾くような強い傾斜や段差で走行姿勢を不安定にさせやすく、また転倒のリスクもはらんでいる。