67歳、年金が「12万円」なのでダブルワーク中です。年金と給与で「月収40万円」ほどですが、友人に「稼ぐと年金が減らされる」と言われました。今のところ減っていないのですが、なぜでしょうか?
年金が停止されないのはなぜ?
タイトルの例では「厚生年金が月12万円、給与が40万円超」ということですから、老齢厚生年金の支給停止がありそうです。なぜ支給停止されないのでしょうか? ■支給停止の対象 在職老齢年金の制度により老齢厚生年金が支給停止されるのは「厚生年金の被保険者」である場合です。つまり勤務先が厚生年金適用事業所でなかったり、または社会保険の加入要件を満たさない働き方をしていたりする場合は、その事業所からの給与は在職老齢年金の対象となりません。 例えばダブルワークの片方(または両方)が、勤務時間が短かったり、雇用契約ではなく業務委託契約だったりする場合は、そこからの収入は在職老齢年金の計算にカウントされないわけです。 ■ダブルワークの場合は タイトルの「厚生年金が12万円、給与の合計が40万円くらい」の人が、仮に次のような働き方をしていたとしましょう。 A社 常勤・社会保険加入 1ヶ月の給与 26万円 B社 非常勤・社会保険加入なし 1ヶ月の給与 14万円 この場合、社会保険(厚生年金保険)に加入していないB社の分は、在職老齢年金の計算に算入されません。老齢厚生年金12万円とA社の給与26万円の合計は38万円です。50万円に満たないため、老齢厚生年金は満額支給されます。 タイトルの人が支給停止されていない理由は、このような働き方をしているためかもしれません。
まとめ
在職老齢年金の制度は1965年に導入された歴史ある制度です。しかし「長年働いた成果の老齢厚生年金なのに、給料が多いからといって停止されるのは我慢ならない」という人もいるでしょう。そうした場合は、厚生年金が適用されない労働条件で働いたり、業務委託契約の仕事を取ったりするなど、働き方を工夫してみてはいかがでしょうか。 出典 総務省 統計からみた我が国の高齢者 日本年金機構 在職老齢年金の計算方法 厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]第10 在職老齢年金・在職定時改定 執筆者:橋本典子 特定社会保険労務士・FP1級技能士
ファイナンシャルフィールド編集部