昌平が堅守の福大若葉を攻め落とし8強入り!準々決勝では前回準Vの桐光学園と激突
7月30日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)3回戦が行われ、JヴィレッジP5の第2試合で昌平(埼玉)が福大若葉(福岡)を2-0で下し準々決勝に駒を進めた。 【フォトギャラリー】昌平vs福大若葉 大津(熊谷)を破った阪南大高(大阪)に2回戦で先制されながらも追いついてPK戦で競り勝った福大若葉。県予選ではプレミア勢の東福岡を3-0破った試合巧者の杉山公一監督はタレント軍団の昌平に5バックで挑んだ。 その引いて守る相手に昌平は自分たちのスタイルで崩しに掛かる。6分にDF5中松陽太(3年)がFKを直接狙うと、11分にはFW15鄭志錫(3年)がDFを引きずりながら力強くフィニッシュ。19分には左からのFKを鄭が頭で逸らす。これはわずかに枠を捉えられなかったが、昌平が次々とゴールに迫っていた。 そして迎えた25分、ここまであまり高い位置を取らなかったMF8大谷湊斗(3年)が深い位置でボールを受けると、「ちょっとしたところで逆をつけていて、"行けるな"と確信を持っていたのでタイミングを見計らっていた」とプレスをかわしながらドリブルで一気に前進。「最初は自分で打とうと思っていたんですが、右で悠代が呼んでいるのが見えたので、確率の高い方を選んだ」と絶妙なタイミングでMF7三浦悠代(3年)へラストパス。 この大谷からのパスで抜け出した三浦は冷静にGKとの1対1を制しネットを揺らした。「そろそろ点を取りたかった。湊斗が運んだらいつも自分が空くので、そこでゴール前に入ったらパスを出してくれた。フリーだったので流石にあれは決めないと」と三浦が振り返った通り、大谷の見事なお膳立てと、三浦の動き出しで昌平が福大若葉の堅守を崩した。 それでも「1点まではいいよ」と杉山監督から指示を受けていた福大若葉イレブンはブレずに戦い方を継続。その後の昌平の攻撃を凌ぎ最少失点で前半を終えた。 後半が始まっても展開は変わらず。MF11長璃喜(2年)が得意のドリブルでチャンスを作るなど、昌平が追加点を狙い相手ゴールに迫った。 しかし、昌平が決め切れないまま後半もクーリングブレイクへ。戦いぶりからも福大若葉の狙い通りの展開とも思われたが「クーリングブレイク明けに(DFを)4枚にして仕掛けたかったんですが、予想以上に走らされていて体力的に消耗していた」(杉山監督)と昌平の分厚い攻撃がジャブとなって福大若葉イレブンを疲弊させていた。 すると昌平は63分、クーリングブレイク明けに投入されたMF本田健晋(3年)が三浦とのパス交換で中央を崩すと、そのまま右足で待望の追加点となる2点目をゲット。そのまま相手に反撃を許さなかった昌平が2-0の完封勝利で3回戦を突破した。 試合後、昌平の玉田圭司監督は「相手が引いてくる中でやるというのは、1.2回戦ではなかった事で、どうやって攻めればいいのかという迷いもあって、決定的なシーンまで行けなかったんですが、(前半の)クーリングブレイクの時に相手の嫌がることを考えさせて、自分のアイデアも伝えたことが(先制点に)繋がったのかなと思います」と先制点を奪うまでを振り返った。 相手の堅い守備を崩すまで苦労したと明かした指揮官だが、それを可能にしたどこからでも崩せる引き出しの多さもこのチームの強みだ。そして選手層の厚さで遠かった2点目を奪い、相手の術中にハマることなく攻め切った一戦となった。 これで昌平は準々決勝に進出し、前回大会準優勝の桐光学園(神奈川1)との対戦が決まった。玉田圭司監督は「宿舎に戻って少し分析したいと思います。でも相手どうこうではなく、まずは自分たち。自分たちがやれることをやることが勝利に繋がると思います」と相手よりも自分たちに目を向けて次戦に臨むと話した。 一方、福大若葉はDF4重松怜音(2年)は最終ラインで身体を張り続け、キャプテンのMF10森部絢(3年)は力強いドリブルを見せたが無念の3回戦敗退となった。それでも初出場ながら全国で1勝した経験は大きな財産になるだろう。 (文・写真=会田健司)