クルマのボディカラーに付く「マイカ」「パール」「メタリック」ってどういう意味? 意外と知らない塗装の種類
ひと口に塗装といっても千差万別
外装の塗装がキラキラ光って見えるのがメタリック塗装と呼ばれる色味だ。塗料に、アルミなどの金属片を混ぜることで、光が当たったとき、乱反射して輝く。 【画像】窃盗団からも大人気なボディカラー 一方、そうした混ぜ物のない塗料を使った車体色は、ソリッドカラーと呼ばれる。 メタリック塗装は、ソリッドに比べ塗装に深みを感じることがある。これは、塗装表面に塗られたクリアーと、金属片の混ざった塗装面とで光の反射の仕方が異なり、奥行きの違いから深みとなって感じられる。 ソリッドカラーでも、艶消しとされるものは、塗装表面にあえて粗さを残し、それによって光がさまざまな方向へ散るため、光沢を感じず、曇ったような色合いに見えることになる。 次に、メタリック塗装のほかに、マイカやパールマイカといった呼び方で、やはりキラキラ光る塗装がある。 メタリック塗装と同様に、塗料に混ぜ物があるのだが、金属片ではなく、雲母(マイカ)片を用いたものをマイカ塗装という。雲母は金属ではなく鉱物なので、輝き方が落ち着いて見える。魚のウロコのような粒子に二酸化チタンの処理をして輝きを出している。半透明なので、下地の色が透けて見え、なおかつ光を反射して輝きが出ることから、より上質な色合いに感じられ、上級車種に採用される傾向にある。 パールという場合は、その色合いが真珠のように見えることから、呼ばれる。 ウロコのような粒子は、大きさによって輝き方に差が出て、粒子が大きいほど反射は強まり、粒子が小さくなれば反射が弱まり、ソリッドに近くなる。輝かせ方の違いによって、見え方の幅が広がることになる。 二酸化チタンではなく、酸化第二鉄を処理したパールというのもある。これは、錆びた鉄のような黄赤っぽい色に限られる。 ほかに、5層構造の顔料片を使い、見る角度によって違った色に見える塗装がある。マジョーラカラーと呼ばれ、日本で発明された。顔料片がさまざまな向きで定着することで、光の当たり具合が変わり、真正面から見たり、斜め横から見たりすると、見る角度の違いから色の変化を感じられる。 色は、使う材料の違いによる光の反射や、塗料がどの波長の光を吸収するかなどによって、人の目の感じかたが違ってくる。そうしたある種の目の錯覚というか、感じ方を利用することで、塗料や塗り方を工夫し、多様な外装色が誕生している。
御堀直嗣