4代目A6にアウディが目指すクルマの未来像を感じとることができた【10年ひと昔の新車】
まるでトルコンATのようにスムーズな7速Sトロニック
試乗は3.0TFSIクワトロのアダブティブエアサス仕様から行った。タイヤはオプションの255/40R19サイズを装着している。まず高速道路を走ったが、とても19インチの幅広タイヤを履いているとは思えないほど乗り心地がいい。そして静かだ。路面の状態がいいところで100km/h巡航しているときなど、助手席で目を閉じていると、ここがクルマの中であることを忘れてしまうほどだ。 さらに驚くべきは7速Sトロニックのスムーズさ。各社のデュアルクラッチトランスミッション(DCT)が、このところスムーズになっていることはわかっていたが、それにしてもこれは凄い。まるでA8のZF製8速ATのようだった。高級車でも十分にDCTが使えるということがよくわかった。ちなみに、7速、100km/h巡航でのエンジン回転数は1650rpmだった。 また高速道路走行時に重宝するのはヘッドアップディスプレイ。ドライバーの目からおよそ2.3m離れたボンネット上に262×87mmサイズのバーチャルウインドウが見える。常に遠くを見ている高速道路走行時に、近くのスピードメーターに目線を移すのは中高年ドライバーにとっては結構つらいもの。これがあればメーターの確認が楽なので、スピードを出し過ぎることもないだろう。 アップダウンをともなうワインディングロードではどうだったろうか。これは前後重量バランスと軽量化の効果が顕著だった。とても5m近いボディのクルマに乗っているという気がせず、軽快に走ることができた。いかにも鼻先が軽い印象なのだ。 一般路ではアイドリングストップシステムも体感したが、これはA1で受けた印象と近い。エンジンの再始動が素早い。タイミングだけでなくクランキングするモーターの出力も大きいのだ。そのため、発進時に何らストレスを感じることはない。これでEUの総合ドライビングサイクル100kmあたり0.4kmも燃料を節減できるというのだから有り難いシステムだ。 さて、エアサスではないスポーツサスのSラインにも試乗することができたが、これの仕上がりもハイレベルだ。路面状況によってはエアサス仕様を上回る乗り心地の良さと、切れのいいハンドリングを見せた。 最後になるが、車内に無線LANを設けたり、グーグルとタイアップして新サービスを提供するなど、インフォテインメント関係の進化にも目覚ましいものがある。この分野でもアウディは最先端を行きつつあるようだ。アウディは次世代のクルマのあるべき方向性をこのニューA6で示したと言っていいだろう。(文:Motor Magazine編集部)
アウディ A6 3.0 TFSI クワトロ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4915×1874×1455mm ●ホイールベース:2912mm ●車両重量:1740kg ●エンジン:V6DOHCスーパーチャージャー ●排気量:2995cc ●最高出力:220kW(300ps)/5250-6500rpm ●最大トルク:440Nm/2900-4500rpm ●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック) ●駆動方式:4WD ●最高速: 250km/h(リミッター) ●0→100km/h加速: 5.5秒 ※EU準拠
Webモーターマガジン