斉藤光毅が語るパリ五輪と新天地イングランド「現状をどう打開するか、全力でもがいている」
【時間が短いのは言い訳にならない】 ここで斉藤は言葉を切り、「逆に......」とつないだ。慌ただしかった日々を、冷静に振り返っていく。 「ホントに流れに身を任せるしかなかったので、逆にそれがよかったのかなと思います。何かを考える必要がなかったというか、考えられなかったというか。チームメイトのことを知らないし、自分のことも知ってもらえていないので、フレッシュな状態でできたのかなって思います」 翌週はスタメンに名を連ね、その翌週は終盤に途中出場した。9月21日の第6節から9節まで、4試合連続でスタメンに名を連ねた。10月の代表ウィーク明けは2試合連続で途中出場したのち、再びスタメンに返り咲いた。ポジションは主戦場の左ウイングだ。 「使ってもらっているなかで、デビュー戦でしか結果を残せていません。まだ慣れる段階で......というか慣れていない段階で試合に出続けて、自分のプレーを出し続けるっていうのは、やっぱりいつも難しいなと感じます。そこは自分の課題としてやっていきたいなと」 ヨーロッパで過ごす5シーズン目となる。移籍は3度目だ。新たな環境へ飛び込むことへの抵抗感はないとしても、練習環境や生活環境は大きく変わる。ましてや今回は、シーズン開幕後の助走なき移籍である。これまでとは違う種類の難しさがあるはずだ。 「移籍をするたびに、難しさは感じます。新しい環境でもすぐに結果を残していく選手、すぐに馴染む選手がいれば、なかなか馴染めない選手もいる。いろいろな選手がいますけれど、環境が変わっても活躍しなきゃいけない。 時間が短い、というのは言い訳にはならない。慣れるまで結果を残せないとなると、もったいない時期が続いてしまう。なるべく自分を理解してもらう、認めらもらうというのはホントに自分の課題だと、今、身に染みて感じています」 移籍直後からプレータイムを刻んでいるなかで、斉藤は自問自答を繰り返している。それも当然なのだろう。ピッチに立つことは自らの存在価値を証明する前提であり、実際に何を見せられるかどうかキャリアアップにつながっていくからだ。