パンタグラフで急速充電、東芝の独自リチウムイオン電池搭載「EVバス」実証
東芝は2日、川崎鶴見臨港バス(川崎市川崎区)やドライブエレクトロテクノロジー(同高津区)と共同で、パンタグラフ方式で急速充電する電気自動車(EV)バスの実証事業を行うと発表した。臨港バスのディーゼルバスをEVバスに改造し、東芝独自のリチウムイオン電池(LiB)を搭載。パンタグラフ式の充電設備も導入する。従来は数時間を要していた充電が約10分で終わる見込み。2025年11月に公道での実証運行を予定する。 【写真】EVバスとパンタグラフ式充電器 東芝独自のLiBである「SCiB」は充放電を繰り返しても劣化が少なく、急速充電が可能な特徴を持つ。東芝がSCiBを用いたバッテリーモジュールを製造し、ドライブエレクトロがEVの改造および充電器の製造を担う。臨港バスの営業所内に設置する充電器にEVバスが到着するとパンタグラフが伸び、大電力を短時間で充電できる。 (右から)川崎市の藤倉茂起副市長、川崎鶴見臨港バスの野村正人社長、東芝の高岡聡彦執行役員、ドライブエレクトロテクノロジーの中川博之共同代表 実証ではバス1台を改造し、1回の充電で40キロメートル程度の走行を川崎市内で予定する。同日会見した臨港バスの野村正人社長は実証を通じ、充電スペースなどのEVバスの課題について「解決に向けて取り組んでいく」との考えを示した。東芝の高岡聡彦執行役員は「新しいバスの効果性を確認し、日本だけでなくアジアなどでの展開も考えていく」と展望した。 EVバスの運行に当たっては、充電時間が長くかかることや、まとまった数の充電器を導入する必要があることなどが課題になっている。