ファッション業界の「 リセール 」が進化。主力事業より利益率が高いブランドも
売り手として消極的なZ世代
Shoptalkのパネルディスカッションでは、興味深い事実が明らかになった。Z世代の消費者はリセールで物を買う一方で、手持ちの衣料品をリセールに出品しない傾向があるというのだ。ディスカッションに参加したのは、小売や消費者、テックセクターの企業をクライアントに抱えるバーンズ・コミュニケーションズ・グループ(the Berns Communications Group)が運営する、Z世代の消費者を集めたZスイーツ(the Z Suite)というフォーカスグループだ。今回、パネリスト3人のうち2人が、自身の服をリセールに出品しないと発言し、スリフトストアをよく利用するというオリヴィア・メイヤー氏はこう述べた。「私はいつも多忙なので……たとえば、手持ちの服がどのぐらいで売れそうか、ブランド側がだいたいの目安を示してくれるとか、もしそんなサポートがあったら、売り手としてはいろいろ悩まなくてすむし、私もリセール出品にもっと興味が持てると思う」。 「利便性」こそ、ブランドのリセールプログラムが人気を集めている主な理由だとギティンス氏はいう。ブランドが運営するECサイトでは、大半のマーケットプレイスと異なり、リセール品の画像や推奨価格、商品説明文などのサービスが充実しているからだ。 スレッドアップのラインハート氏も、Z世代が売り手としてのリセール参加に消極的な傾向について語っている。「我々は、売り手にとって出品や取引がやりやすいよう時間をかけて仕組みを整えている。ただ問題は、Z世代の消費者が、手間をかけずに大きく稼ぎたいと考えていることだ。楽して儲けようとしても、そううまくはいかない」。 パクサン(Pacsun)のCEOブリアンヌ・オルソン氏も同様の意見のようで、「小売店の顧客のうちZ世代の消費者は、リセールのチャンスに対する反応が鈍い」と語っている。「我々は2年前、消費者が店頭に持参したデニムをリサイクルするプログラムを導入したが、Z世代のエンゲージメントが非常に低かった。それが解決すべき課題のひとつだ。Z世代の顧客にとって、利便性がすべてに優先する──彼らはなんでも簡単に手に入る状況に慣れているからだ」。 スレッドアップは最近、マーケティング活動を見直し、ミレニアル世代に対し重点的に訴求するようになった。「Z世代をターゲットとした施策は効率が悪く、長期的にはコストがかさみ、高くつくことになる」とラインハート氏はいう。「Z世代が20代のうちに自らの好みやこだわりに向き合い、成長するのが望ましい。そして、いざ彼らが我々の中核的価値観を受け入れ、当社のサイトで売買する気持ちになれば、我々は支援を惜しまない」。 [原文:Resale has evolved from a marketing play to a business driver] JILL MANOFF(翻訳:SI Japan、編集:戸田美子)
編集部