ファッション業界の「 リセール 」が進化。主力事業より利益率が高いブランドも
リセール専門部署を置き始めたファッションブランド
アーカイブに登録してリセールプログラムを始めたもっとも新しいクライアントが、英国のシューズブランド、ドクターマーチン(Dr. Martens)だ。同社が3月20日、自社ECサイト上に開設した「Rewair(リウェア)」セクションでは、ブランドを象徴するブーツのリユース品を購入できる。今後、Rewairの商品ラインナップは、新たに導入された回収サービスを通じて集められたさまざまなスタイルの靴により、充実したものになるだろう。サイトの利用者は、履き古したドクターマーチンブランドの靴を下取りに出すことで、商品購入に使える20ドル分(約3000円分)のギフトカードと交換できる。ちなみにRewairセクションで取り扱うブーツの販売価格は50ドルから200ドル(約7500円から約3万円)だ。 ドクターマーチンではリセールプログラム専任チームを設置しており、アーカイブとの連絡窓口はリコマース部門を率いるアンナ・ウィックス氏に任せられている。ファッションブランド各社で最近、注目度が上がっているのがこのリコマース部門で、ギティンス氏によると、過去2年のあいだにアーカイブのクライアント20社から30社が、リセールプログラムのマーケティング担当を含め、リセール専任の人員を配置するようになったという。 「おそらく10年前、20年前にも、『eコマースの担当部門はどこにする?』などと、似たような会話がブランド各社で交わされたのではないか」とギティンス氏は推察する。「そして最終的に、当該分野の専任チーム設置の必要性が認識されたのだろう」。 ドクターマーチンでは、「組織内の全階層でリセールの重要性が受け入れられており、理解が浸透している」とギティンス氏は主張する。 ギティンス氏によれば、リセールプログラムは数カ月間の準備で開始でき、「短期間で」収益化が可能だという。アーカイブのブランドパートナーには、ドクターマーチンのように自社運営のリセールプログラムで回収サービスを通じて商品を仕入れるか、あるいはアーカイブが運営するピアツーピア型のリセールプログラムに参加するという選択肢がある。自社運営では取引が成立した場合、売り手への支払いは通常、リセール価格の70%相当の現金か、100%相当のギフトカードになる。 しかし、ギティンス氏も認めているように、2024年はリセールプログラム導入をブランド各社に勧めるのは難しそうだ。「経済環境が厳しいなか、ブランドにとってビジネスモデルの一大転換を図るにはタイミングが悪いかもしれない」。