【全盛期、再び!】世界を熱狂させたル・マン24時間レース「第三章 ディーゼル、ハイブリッドの時代へ。現在のWECが誕生へ(2000年代)」 | ル・マン24時間レース2024 開幕直前特集!
3台出場の必勝体制で挑んだトヨタは表彰台の一番高いところに豊田社長を乗せたかったと思います。しかし、それはまたも叶いませんでした。レース後、「思いっきり走らせてあげられなくてゴメン・・・」というドライバーの気持ちに寄り添うコメントと共に豊田社長の声明がリリースされました。今や大きなモータースポーツイベントの後、豊田社長から声明が発表されるのは当たり前になっていますが、当時は自動車メーカーのトップが、敗北したレースの結果に対して言及することは異例中の異例でした。
2017年、モリゾウさんが来場しなければLMP1の終焉とともにル・マンから去っていたかもしれないなとも思います。翌年以降、実質的なライバルはいなくなりましたが、トヨタは参戦を続けました。勝利しても色々言われましたが、トヨタはヒューマンエラーを含めた様々な項目を隅から隅まで見直し、耐久レースのノウハウを蓄積。現在のハイパーカー規定の時代になっても多数現れたライバルに打ち勝つことができるメーカーになりました。将来的には水素エンジンでの参戦も表明していますし、こういった新技術へのアプローチもアウディと同じように参戦を続けてきたからこそできることなのでしょう。
昨年のル・マンではレース直前の性能調整で不利な立場に追い込まれたトヨタ。今年も性能調整は厳しいですが、イモラ6時間での勝利はトヨタの底力を見たレースでした。今年のル・マンに勝利し、好調なポルシェの通算20勝目を阻止する強いトヨタを見たいですね!
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ