脳血管疾患のリスクを5分の1にできる可能性のある「CPAP療法」 一生継続が必要なの?
CPAP療法はやめられる時が来る?
編集部: CPAPはずっと使い続ける必要があるのですか? 岩間先生: 私たちも、患者さんから「CPAP療法はいつまで続けたらよいのですか?」という質問をよく頂戴します。まず大前提として、CPAP療法は、装着すると無呼吸や低呼吸が改善されますが、やめると元に戻ってしまいます。 基本的にCPAP療法は「続けていると徐々にいらなくなってくる」というような治療ではありません。 編集部: では、辞めることはできないということでしょうか? 岩間先生: そういうわけではありません。閉塞性睡眠時無呼吸になりやすい大きな要因の一つに肥満があります。中等症以上の睡眠時無呼吸症候群患者さんの7割以上がBMI25以上とも言われています。 肥満の人は、首にも脂肪がたくさんついているので喉が狭くなりやすく、閉塞性睡眠時無呼吸を起こしやすくなります。逆に言うと、減量することにより睡眠時無呼吸の改善が期待できるのです。 研究データでも、10%の減量により無呼吸をあらわす指数が26%減少することが報告されています。 編集部: 軽い睡眠時無呼吸症候群の方にも、そういった指導をするそうですね。 岩間先生: その通りです。CPAP療法をしている患者さんも、軽度の睡眠時無呼吸症候群患者さんが行っているような減量指導や生活改善をすることで、睡眠時無呼吸症候群の改善が期待できます。 私が診てきた患者さんの中にも、適切な食事・運動療法を行い10kgの減量に成功し、CPAPを辞められた方が実際にいらっしゃいます。 編集部: 最後に、メディカルドック読者へのメッセージがあればお願いします。 岩間先生: 睡眠時無呼吸症候群の人の中には、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を併発している人も多くいらっしゃいます。 だからこそ、なおさら食生活や生活習慣の改善はとても重要です。現在CPAP療法を受けている人も、「CPAPできちんと眠れているから安心」と油断せず、生活そのものを見直してみましょう。自己管理をしっかりして、CPAPがいらなくなる人もいらっしゃいます。