脳血管疾患のリスクを5分の1にできる可能性のある「CPAP療法」 一生継続が必要なの?
睡眠時無呼吸症候群の治療についても教えて
編集部: 「日中眠い」といった理由で病院に行っても良いのでしょうか? 岩間先生: もちろんです。日中の眠気やだるさ、起床時の頭痛、ご家族からいびきを指摘された、といった症状のある人は、お近くの「睡眠時無呼吸症候群外来」などの専門医療機関に相談するのをお勧めします。 編集部: 睡眠時無呼吸症候群であった場合、どのような治療をするのですか? 岩間先生: 軽い睡眠時無呼吸症候群であれば、寝る時のポジショニングや体重コントロール、生活習慣の改善などを指導します。具体的に言うと、仰向けで寝ると重力で舌の付け根が喉の奥に下がり、気道を塞いでしまうので、横向きで眠るのが推奨されます。 また、睡眠時無呼吸症候群は肥満と深い関係にあるため、運動や食事を工夫して減量に取り組みます。寝る前のアルコール摂取は筋肉を緩める働きがあるため控えていただきます。 編集部: それ以上の重症度の場合はどんな治療をするのですか? 岩間先生: 経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)が選択されます。これは、睡眠中に鼻や口にマスクを装着し、そこから空気を送り込むことで気道を常に開いた状態に保ち、無呼吸や低呼吸を防ぐ方法です。 CPAPによって気道が閉塞するのを防ぐことで、酸素不足やいびき、無呼吸の繰り返しが改善され、深い睡眠が得られるようになります。治療を継続することで、日中の眠気や疲労感の軽減だけでなく、血圧や心臓・血管の負担軽減にも効果が期待されます。 編集部: 結構大掛かりなイメージですね。 岩間先生: 「毎晩眠る時に」というと、最初は抵抗感を示す方もいますが、近年のCPAPの機器はとても小さく、旅行のときに持ち運ぶこともできるほどです。健康保険の適用になっていますし、機器はレンタルで使用していただけます。 月に1度の外来受診によりCPAPの使用状況や治療効果も確認します。何より、有効性・安全性が高く、実際に治療を開始すると「びっくりするくらい深く眠れた」「朝の目覚めがすっきりした」と驚かれる方も多くいらっしゃいます。