新常磐交通の高速バス「いわき~福島」が運休 当面、福島交通だけで運行 苦渋の決断の背景に利用者減少で厳しい経営状況
11月1日から見直されるのが「高速バス」の運行ダイヤだ。福島県のいわき市と福島市を結ぶ路線を共同で運行してきた2社のうち、いわき市のバス会社が運休を決めた。それは地域交通を支えるバス会社にとって、苦渋とも言える決断だった。 【画像】11月1日からの運休を発表した新常磐交通の高速バス(いわき~福島便)
新常磐交通 苦渋の決断
福島県いわき市の「新常磐交通」。いわき市と福島市を結ぶ高速バスを、これまで毎日4便運行していた。しかし、2024年11月1日から当面、運休することとなった。これについて新常磐交通の門馬誠常務取締役は「いわき~福島線の利用実態がかなり厳しく、利用者が非常に低迷していると。11月1日から3月31日まで運休させていただく」と話した。
厳しい経営状況
東北運輸局がまとめた、福島県内発着の高速バスの利用者数の推移をみると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2020年度は前年度と比べて約50%と大幅に落ち込んだ。 その後は回復傾向にあるが、感染拡大前の60%程度にとどまる。 新常磐交通によると、いわき~福島の路線は1便の平均が10人未満で、厳しい状況が続いていて運休は苦渋の決断だったという。 門馬常務取締役は「企業や行政関係の会議が、ほとんどオンラインでの開催となった。特に福島市の場合は、行政機関があるので、そこへの流動が多分減っているのでは」と話した。
利用者は困った
新常磐交通の運休により、この路線は福島交通が運行する最大8便だけになる。 運休の発表に、街の人からは「困っちゃいます。活気があるような企画をやってほしい」「交通手段がなくなるのは…車を持ってないので、遠出するときに手段が減るのは不便」「県庁に直接用事がある人は、これから面倒になるのでは」との声が聞かれた。
人手不足も課題
一方、バス会社を取り巻く経営環境をめぐっては、赤字路線の解消の他にも大きな課題がある。それが人手不足だ。 2024年4月から始まったドライバーの働き方改革で、人手不足に拍車がかかり、一部の路線バスの減便や廃止を余儀なくされた。 その実態が広く知られると反響が広がり、地域交通を支えるバス会社に関心を示す人などから応募が寄せられ、新たに8人のドライバーを採用した。これにより、2024年11月から5つの系統で運行を再開できるようになった。 新型コロナ感染拡大の影響が残るだけでなく、人手不足にも直面しながら路線維持に向けた模索は始まったばかりだ。 (福島テレビ)
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