Apple Vision Pro によるMR体験はファッション業界にどんな進化をもたらす?
Appleが「Apple Vision Pro(以下Vision Pro)」を米国で販売開始したと同時に、マイテレサ(MyTheresa)、e.l.f コスメティクス(e.l.f Cosmetics)、アロヨガ(Alo Yoga)などのブランドが、Vision Proに搭載されたアプリによるファッション体験サービスを提供しはじめた。 それから2カ月近く経った今、ファッションブランド各社のMR(複合現実)体験はより高度化しつつある。 ラグジュアリー品中心のリセールプラットフォームであるストックエックス(StockX)は3月6日、Vision Pro搭載の自社アプリによるショッピングサービスの提供を開始した。同社のプレジデント兼COOであるグレッグ・シュワルツ氏は、「斬新さだけを狙った施策はうまくいかない」としたうえで、「我々が目指しているのはユーザー体験の向上であって、それが当社のイノベーションの主な原動力となっている」と語る。
Vision Proはブランドにとって実験の場
同社によると、Vision Pro上で利用できるストックエックスのアプリはすでにダウンロード数が数千件に達しているという。ヘッドセットを装着したユーザーは、自分のいる空間内で最新作のスニーカーを3Dモデルで体験することのできる「没入型スニーカーショーケース(Immersive Sneaker Showcase)」を楽しめる。アプリはユーザーの視線計測と手の動きに反応してスムーズなカタログ閲覧を実現し、購入判断の参考になるリアルタイムの市場データや購入に関するヒントを表示するほか、チェックアウト機能も備えているという。 「Vision Proは広く一般に普及するものではないと、我々は当初からわかっていた」とシュワルツ氏は話す。「なぜなら高価格なデバイスだからだ。当社がVision Pro向けのアプリ開発を決めたのは市場浸透を促すためというより、ほかに先がけてMRショッピング体験の実践例を示すためだった」。 ストックエックスは現在、Vision Pro向けショッピングアプリで成功した要素を、