持ち味薄れた?「孤独のグルメ」特別編への違和感。「マンネリ」こそがドラマの持ち味だった
原作者の久住昌之さんは、10シーズン続くドラマ版のマンネリ化によるファン離れに対して、異を唱えていた。 「毎日ふつうに食事することを誰もマンネリとは思わないですよね。人の生活のなかの空腹と食事、という繰り返しを描いているんです。同じようなものを食べていても、毎日同じ気持ちではない。(中略)お腹が空いたからなにか食べようという誰にでもある普通の行動。それを丁寧に描こうとすれば、いくらでもドラマはあると思います」(過去記事:10年続く「孤独のグルメ」マンネリ化しない必然)
マンネリであることを、誰もマンネリとは思わない。この言葉こそ『孤独のグルメ』という特異なシリーズの本質を突いているのではないだろうか。 今回の特別編と劇場版をひとつのステップとして、王道を守りつつ時代とファンに寄り添って進化を遂げていくことが期待される。
武井 保之 :ライター