パフォーマンス上がる。ストレスを和らげ、記憶力・睡眠の質も変わった「精油」活用術
ここ一番で頑張りたいときには「ペパーミント」
長時間の頭脳労働などで起こる脳の疲労を軽減させる精油、ペパーミント。 京都府立医科大学など複数の大学の共同研究で、被験者にパソコンの作業を2時間行なってもらいました。その際、室内の香りの条件を、香りなしから、グレープフルーツ精油の香り、4種類の精油をブレンドした香りなどと変えながらの12日間にわたる実験でした。 結果、ペパーミントの香りが、疲労感を軽減し、活力を上げ、否定的感情を低下させるというもっともポジティブな結果が見られました。これは、ペパーミントによる交感神経の活性化によるものだそう。 ただ注意したいのは、疲労そのものが消えたのではなく、「疲労のシグナル」を隠しただけなので、休息が不要になるわけではない点です。 そのため本書では、どうしても頑張らなくてはいけない場面で使用し、そこを乗り越えたらしっかり休息する必要性が説かれています。
寝つきを良くしたいなら「ベルガモット」
現代人にとって、寝つきが悪い、夜中に目が覚めてしまうなど、睡眠にまつまる悩みは尽きないものです。 これについても精油、とくにベルガモットが力を発揮します。 本書では、柑橘類のベルガモットの精油を使った実験が記されています。マウスを対象にした実験ですが、内容は、ベルガモットの精油と不眠症の治療薬「プロチゾラム」の効果を比較したもの。 これによると、ベルガモットを嗅がせたマウスの寝つき(眠りに落ちるまでの時間)の早さは、プロチゾラムと遜色なかったほか、総睡眠時間も著しく増加しました。 この実験結果が、そのまま人間に当てはまるかは不確かな面もありますが、本書では、寝つきの悪い人は、寝室や枕元をベルガモットの香りを満たすことがすすめられています。
精油の香りで記憶力も高まる?
記憶力を高める精油もいくつかあります。 2019年に発表されたウクライナで行われた研究では、10代の生徒79人に対し、香りなし、ラベンダーの香り、ローズマリーの香りという条件下で、記憶力を測るテストが行なわれました。 テストの内容は、16種類の画像あるいは2桁の数字12個を20秒間見て、その後、どれだけ多くの画像・数字を思い出せるか、というものでした。 結果、ラベンダーとローズマリーのいずれの香りも、香りなしに比べて画像記憶の成績が大幅に向上していたそうです。 一方、数字の記憶については、香りなしとほとんど変わりませんでした。さらにラベンダーとローズマリーとで比べると、ラベンダーのほうが成績が悪かったようです。これには、ラベンダーには、副交感神経を優位にさせ、精神を鎮静化させる効果があるからだそう。 ですが、数字を記憶する場合は、交感神経を優位にした(集中力を高める)ほうがよいことが示唆されます。 今後、多くの研究結果が蓄積されることで、いま取り組んでいるタスクに応じて最適な精油が特定されるかもしれません。