部下を“茹でガエル”にするマネジャーの、典型的なチームの状態の捉え方とは
チームの状態を正しく評価することは難しい。自分の印象で捉えるだけのマネジャーは、具体的な指導ができないから「もっと頑張れ!」と声援を送るだけになる。だが、檄(げき)を飛ばすだけではチームのパフォーマンスは高まらない。キーエンスでマネジャー経験がある岩田圭弘氏は、「数値化しなければ、チームの状態が良いのか悪いのか判断できない」という。本連載では、『数値化の魔力“"最強企業”で学んだ「仕事ができる人」になる自己成長メソッド』(岩田圭弘著/SBクリエイティブ)から内容の一部を抜粋・再編集し、チームのマネジメントに欠かせない数値化の基本を紹介する。 第7回は、チームのマネジメントに欠かせない数値化について解説する。 ■ マネジメントでも活きる“キーエンスの数値化” キーエンスでは、マネジメントにおいても数値化が大いに活かされています。 そこでここからは、マネジャーが組織の成果を最大化するために数値化を活かす考え方とノウハウについて解説していきます。 ■キーエンスでは「マネジメントでも」数値化が徹底されている ここまで個人のプレイヤーとしての数値化についてお話ししてきましたが、実はチームにおいても数値化の考え方の基本は同じです。 キーエンスでは「目論見」として、その半期に目標を達成するためにはどのようなプロセスで業務を遂行すべきであるかということを毎月モニタリングする文化があります。 このチーム単位でのモニタリングは個人単位でのモニタリング以上に重視されている印象がありました。 キーエンスでのチーム単位とは、事業部全体でもあり事業所単位でもあり、また部署単位でもあるという重層的な単位を示します。 これらの各単位で重層的に数値化によるマネジメントが実施されているのです。 実際、私自身も同社のマネジャーであったときには、チームのマネジメントに数値化は欠かせませんでした。 数値化しなければ、チームの状態が良いのか悪いのか判断できないためです。 たとえば受注件数だけ見ていても、その数値が何を示しているのかは、目標から逆算した数値を基準にしなければ理解できません。 受注件数が前年よりも伸びているからといって、目標がそれ以上に高く設定されていれば、決して良好な状態とは言えないのです。 またチームのメンバーに対して闇雲に「受注件数を増やせ」と指導しても、メンバーの一人ひとりは何をどのように努力すればいいのかわかりません。 檄を飛ばすだけではマネジメントしているとは言えないのです。 ですから、本書で述べてきたようにKGIからプロセスごとのKPIを逆算して、それが達成できているかどうかを確認するという点では、チームにおいても個人のプレイヤーが行ってきた数値化と同じ考え方が必要になります。 ただし、単位がチームに変わることによる注意点がありますので後述します。