国道なのに行き止まり?分断された国道422号の端っこを見に行ってきた
北側の行き止まりを見に行ってみた
愛車のクロスカブを走らせ、やってきたのは三重県津市三杉町。国道422号と国道368号の重複区間です。(実はこの国道368号も酷道として知られるとっておきの区間を抱えているのですが、またの機会にご紹介します) まずは国道422号、北側の行き止まりスポットを見に行ってみましょう! ここまでの道は山に囲まれながらも走りやすい穏やかな2車線道で、道中には温泉施設やパン屋、喫茶店などがあり観光を楽しむにもピッタリな地域です。しかし写真の交差点、直進すれば368号とその先に道の駅 美杉、右折すれば422号とその先に行き止まりという場所からは様相がガラッと変わります。 422号へ向けて右折をして最初に出会うのは、古い民家が建ち並ぶ集落です。距離にして4kmほどでしょうか。車1台分ほどの狭い道で、隣には透き通った小川が流れています。車とすれ違うとなると焦らずにはいられないシチュエーションですが、対向車はめったにありません。のどかな景色の中をゆっくりトコトコ、マイペースに進んでいきましょう。 …ところが。集落が続く場所までは細いながらも整備されたキレイな道なのですが、最後の民家(パークゴルフ場のようです)を通り過ぎたところで一気に酷道感が増しました。 普段はほとんど車両が入らず、また周囲が山深くなるからでしょうか。路面には苔や落ち葉、小石などで覆われていつ滑るかもわからない状態に。生い茂る木々に遮られて陽の光もまばらで、ジブリ作品に出てきそうなほど神秘的な空気が漂い始めました。 周囲は一気にシンと静まり、クロスカブの「プロロロ…」という小さな排気音と小川が流れる音、そして時折風や小鳥の羽音が聴こえるだけ。わずか数分間の間に、まるで別世界へと足を踏み入れたみたいです。 しかし、人の手がまったく入っていないワケではありません。道の脇に突然立派な信楽焼のタヌキが置かれていることに驚き、思わず立ち止まって様子をうかがうと…どうやら木々の奥にキャンプ場があるようで、タヌキはその目印だったのでした。 他にも利用自由なベンチとテーブルが設置されていたり、デイキャンプ場が整備されていたりと、緑に囲まれてまったりと過ごすにはピッタリな環境が整っていました。スマホの電波がほとんど入らない場所なので、デジタルデトックスも兼ねて再訪問したいですね。 さて、さらに南へ向けて約2km。国道422号の北側の行き止まり地点までたどり着きました。最後はついに未舗装の砂利道となり、大きな岩がゴロゴロと転がりバイクや車ではとても進めませんでした。どうやら奥には登山道が続き、422号の南側の行き止まりへと歩いて進めるようです。 周辺には東屋と広場が整備されています。実は筆者自身、時々ここにおにぎりやお弁当を持参してランチを楽しむことがあるのですが、2枚目の写真の奥に見える滝の音や小鳥のさえずりを聴きながら休憩できる、最高の癒されスポットなのです。 この場所は、地域住民の方がご厚意で整備をされているというミツマタ群生地のひとつなのだそう。ミツマタとはジンチョウゲ科の植物で、春になると黄色い花を咲かせる落葉樹です。開花のシーズン中は、あたり一面がほんのり黄色に染まって美しいのだとか。 三重県津市三杉町側の国道422号行き止まりには、道の分断地点というシチュエーションではありながらも、まったく悲壮感を感じさせない秘境の癒されスポットが広がっていました。 後編では、南側の行き止まりを見に行きます。 文/高木はるか アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。 高木はるかの記事は下記のサイトから https://riding-camping-haruka.com 編集/inox.
@DIME編集部