【中学受験】難関私立中の併願パターンが大激変! 午後入試を味方につける「併願校選び」の新セオリー
◆偏差値に「10ポイント」の幅を持たせて
2月のダブルヘッダー受験では実質的なロスタイムとなる移動時間が体力と集中力を奪います。そのため、試験以外の時間では受験生をできるだけうまく弛緩(しかん)させて気分転換を図ること、親子ともども午前中の出来を午後に引きずらないようにすることを心がけましょう。 また、2月の受験校の中だけで偏差値で10ポイントのアップダウンをつけた併願パターンを組んでおくことが大切です。 偏差値で10ポイントというとかなり差があると思われがちですが、四谷大塚の合不合判定テストの4科目の合計素点に換算すれば、65点程度の差にすぎません。つまり、500点満点のテストの65点ですから12%程度の差です。 大人であっても10%程度の得点のブレはありますから、緊張状態にある12歳の子どもがそれ以上にブレることはよくあります。だから偏差値差10ポイントを考慮した併願パターンが必要不可欠なのです。 模試の偏差値データ、模試の問題と答案、過去問の得点データと答案、最寄りの駅名、通学塾歴、得意分野・不得意分野などの情報があれば、かなり精緻な併願パターンが作成できます。 併願校を決定する際、模試の偏差値や合格可能性を最大の目安にする方は多いと思いますが、難関校に近づけば近づくほどかえって偏差値が当てにならなくなる例がありますので、偏差値だけを過信するのは禁物です。必ず過去問を解いてみて出題傾向との相性と得点率を確認してください。
◆ライバル校の過去問チェックも忘れずに
併願パターンの話ではありませんが、都内難関校を受験する場合は、そのライバル校の昨年度の過去問はチェックしておくことをおすすめします。なぜなら、入試問題の作成者はライバル校がどんな問題を出題しているのかをチェックしてから作問するからです。 都内男子御三家を受験する生徒ならば、筑波大附属駒場中、開成中、麻布中、早稲田中、海城中、駒場東邦中、渋谷教育学園幕張中、渋谷教育学園渋谷中、聖光学院中、栄光学園中、灘中、甲陽学院中、東大寺学園中、ラ・サール学園中などの入試問題は要チェック。 女子御三家を受験する生徒ならば、桜蔭学園中、女子学院中、雙葉中、豊島岡女子学園中、吉祥女子中、鷗友学園女子中、渋谷教育学園幕張中、渋谷教育学園渋谷中、早稲田実業中(早実中)、早稲田大高等学院中(早高院中)、慶應義塾中等部、フェリス女学院中、神戸女学院中などの出題は見ておきましょう。 翌年の入試問題で類似した問題が出題される可能性があるのはオリジナリティの高い問題だけですから、これらの入試問題を全て解くわけではありません。あくまでも目新しい問題だけ(特に算数と理科)をチェックして、気になる問題だけを解いておきましょう。 その際に活躍するのが「銀本」ですので、最後の詰めに利用するのがおすすめです。「銀本」は日能研で使われている教材で、書店では『中学入試試験問題集』(みくに出版)として販売されています。 算数編、国語編、社会編、理科編と科目別に分冊されていて、国語編は「女子・共学校 国語編」と「男子・共学校 国語編」の2種類があります。 最後になりますが、全ての受験生にとって悔いのない中学受験になるよう、心より祈念いたします!
▼小野 博史プロフィール
準大手中学受験塾トップクラスの指導を皮切りに、教室長、教材部長などを歴任。平成8年、千葉県柏市で中学受験・私立中高専門塾エクセレントゼミナールを設立主宰。講師として35年超、合格率にこだわった受験指導で1000人以上の受験生を送り出す。SAPIX、日能研、四谷大塚などの大手塾の生徒にも個別指導をしており、的確なセカンドオピニオンを提供することで合格可能性を広げ、悔いのない中学受験に導くことを身上とする。
小野 博史(中学受験ガイド)