苦境に立つ「町の書店」 経済産業省が支援へネットに負けない「これからの書店」とは? 山陰の本好きたちが語り合う
未来の子どもに本屋を残すために…
経営の問題については、書店側からも声が上がった。 「書店に入ってびっくりしたのが利益率。ほとんど利益がなくて、経営の難しさも感じている」と「リアル書店」の実情を打ち明けたのは、書店員・小村優衣さんだ。 夫は出雲市の創業100年を超える書店の5代目で、小村さん自身も「書店員」として店に立つ。 小村さん夫妻はともに元保育士。その経験を生かして、子どもの好みや成長にあわせて絵本を選ぶ「選書」サービスでファンを増やすなど、「足を運ぶ価値がある」店づくりに取り組んでいる。 小村さんは「子どもの未来に本屋を残したいという思いがあるので、店で本を買ってもらうという流れをつくっていけたら」と胸の内を明かした。
「町の書店」復活で活気ある地域に
一方、失われた「町の書店」の復活を目指して、行政が動いている地域もある。 「本屋とパン屋と花屋と美容室のないところからは若い女性がいなくなる、というお話をされた。それはうち(の町)にはないな」と自身の町を引き合いに出し、活気ある地域づくりに書店は欠かせないと力説したのは、鳥取・江府町の白石祐治町長だ。 県内の市町村で人口が最も少ない江府町では、10年以上「書店ゼロ」の状態が続いている。そこで、町は、NPO法人「ブックストア・ソリューション・ジャパン」の後押しを受けながら、「町の書店」を復活するプロジェクトを進めている。2023年には、町の目抜き通りに残る、かつての書店の建物と土地を約290万円で購入した。 その狙いについて、白石町長は、「(ネット書店と違って)その空間に本があるからこそ、偶然、見つけられる。そんな場所が、この1~2年のうちにでもできると、住民の皆さんが元気になるのではないか」と説明した。 本との偶然の出合いも提供する「リアル書店」に、地域住民をつなぐコミュニケーションの場としての役割も期待している。
国も模索「書店」の支援策
今後の書店の支援について、経済産業省中国経済産業局の實國慎一局長は、「支援を必要とする書店をどうやって発掘していくか、その仕掛けが課題」だと認識を示した。 中国経済産業局は、今後、後継者の確保など支援策を検討するとともに、書店の魅力や重要性、これからのあるべき姿について発信していくことにしている。 (TSKさんいん中央テレビ)
TSKさんいん中央テレビ