ライドシェアのnewmo、新たに63億円調達。創業10カ月で190億円、タクシー会社と提携・M&Aで全国展開加速
ライドシェアとタクシー事業を展開するnewmo(ニューモ)は10月31日、シリーズAの追加ラウンドで、既存投資家を含む国内外のベンチャーキャピタル(VC)を引受先とした第三者割当増資により、約63億円の資金調達を実施したと発表した。 【全画像をみる】ライドシェアのnewmo、新たに63億円調達。創業10カ月で190億円、タクシー会社と提携・M&Aで全国展開加速 2024年7月に発表した100億円超の資金調達に続き、これでシリーズAでの累計調達額は約167億円。2024年1月の会社設立以降だと累計調達額は約187億円と、創業わずか10カ月で200億円近い調達に成功するなど、同社のビジネスに対する期待の高さが現れている。 同社広報によると、シリーズAラウンドは「今後もまだ続く可能性がある」という。 調達資金は全国へのエリア展開、タクシー事業者との提携・M&A、プロダクト開発、採用などに充てる考えだ。
「仲間増やす」狙いで27社から調達
「newmoの目指す世界や事業モデルに共感いただき、多くの投資家に出資という形で応援いただいたことをありがたく感じている。年内にはタクシー配車アプリを大阪から開始するとともに、全国各地でのサービス提供を目指し、まず名古屋・沖縄の拠点立ち上げからスピード感を持って取り組んでいく」(newmo広報) 今回を含めシリーズAラウンドの投資家は、ジャフコグループやSBIインベストメントなど合計27社(記事末に一覧を記載)。投資家の数を増やすことは当初から狙っていたという。 「事業成長に必要な資金調達としてはもちろん、資金面やそれ以外の面も含め応援いただく仲間を増やすためだった」(newmo広報) 背景には、Uberなどのスタートアップが、一般ドライバーが自家用車で客を有償で運ぶ「ライドシェア」を一気に拡大・普及させていった諸外国とは異なる日本特有の事情もある。
ライドシェアをめぐり状況が一転
日本では2010年代前半のUber日本進出を機にライドシェア機運が一時的に高まったものの、タクシー業界の猛反発を受け、Uberらは「配車サービス」という限定的な参入にとどまった。その後、ライドシェアが欧米中心に諸外国に普及していく一方、日本では「白タク」という違法行為のまま約10年が過ぎた。 ところが、2023年になり状況が一転する。 菅義偉元首相が、インバウンド対応・過疎地の高齢化などを背景にライドシェア必要論を打ち出したのだ。タクシー業界の猛反発を受けながらも紆余曲折を経て、2024年4月、運営主体をタクシー会社に限定した「日本版ライドシェア」がスタートした。 そうした変化の波を好機と捉え、メルカリの日本事業を統括していた青柳氏は2023年12月に同社を退職、2024年1月にnewmoを設立。「タクシーとライドシェアのハイブリッドモデルで、利用者視点に立ったサステナブルな地域交通の実現を目指す」(newmo)戦略を掲げ、始動した。
全国展開に向け、名古屋と沖縄に新会社
newmoはその後、2024年3月に大阪の岸交(岸和田市)、7月には同じく大阪の未来都(守口市)とタクシー会社の経営権を相次いで取得。newmoグループでタクシー車両600台以上、従業員1000人以上と、大阪で第5位のタクシー会社となった。 この基盤を背景に、7月に大阪で日本版ライドシェアの運行を開始、8月にはライドシェアドライバー向け車両リースサービスを開始、9月には大阪に次ぐ第二の拠点として長野県に新会社「newmo軽井沢御代田」設立など、事業を拡大している。
湯田陽子