正直、ありがたい…「長生き」にも「インフレ」にも対応する〈公的年金〉の強み【経済評論家が解説】
「公的年金は頼りにならない」近年ではそんな声がしきりに聞こえてくるようになり、また、公的年金を軽視して、保険料の支払いを無視する人もいるようです。しかし、公的年金は長生きにもインフレにも対応する、ありがたい制度なのです。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
1階部分は全員が加入、2階部分はサラリーマンが加入
日本の公的年金制度は「2階建て」になっています。1階部分は全員が加入する国民年金、2階部分はサラリーマン(男女を問わず、公務員等を含む。以下同様)が加入する厚生年金です。 国民年金は、現役時代に年金保険料の払い漏れがなければ全員が65歳以降に毎月6万6,000円の年金(老齢基礎年金)を受け取れる、という制度です。複雑なのは、現役世代がサラリーマン、サラリーマンの専業主婦(主夫を含む、以下同様)、それ以外という3つのグループに分けられていることです。 サラリーマンは、給料から厚生年金保険料が天引きされていることで、国民年金保険料も払ったものとして扱ってもらえます。サラリーマンの専業主婦は、配偶者が給料から厚生年金保険料が天引きされていることで、自分も国民年金保険料を払ったものとして扱ってもらえます。 それ以外の人(自営業者、自営業者の専業主婦、失業者、学生等々)は、自分で年金保険料を払う必要があります。払い漏れがあると老後に受け取れる年金が減りますから、しっかり支払いましょう。 払えない場合には、無視をせず、「払えなくてスミマセン」という書類を提出しましょう。書類を提出するだけでも何もしないより遥かにいいことがあるかもしれませんから、面倒だと思わずに提出しましょう。 2階部分の厚生年金は、サラリーマンが老後に受け取れる年金です。現役時代の所得が高かった人は現役時代に支払う保険料が多い一方で老後に受け取れる年金も多いのが原則です。給料が高い人は生活費が膨らんでいるので老後資金も多く必要だろう、ということのようです。したがって、人によって受け取れる額は異なりますが、標準的なサラリーマンは65歳以降に毎月9万円程度受け取れるとされています。 標準的なサラリーマン夫婦は老後に毎月22万円程度の年金が受け取れますから、贅沢をしなければ何とかなりそうです。年金は老後資金の最大の柱なのです。自営業者夫婦は、毎月13万円強の年金だけで暮らすのは難しいでしょうが、それでも年金が老後資金の重要な柱であることは間違いないでしょう。 余談ですが、日本の年金制度全体としては3階建になっています。3階部分は各自が自由に契約できる私的年金ですが、その中にはiDeCoという税制上有利な制度もありますから、興味のある方は拙稿 『さすがの節税効果! 3分でわかる「NISA」「iDeCo」のすごいメリット【経済評論家が解説】』 を併せてご覧いただければ幸いです。