「親友が離婚しました。辛い気持ちを聞いてあげたいですが、どんな風に声をかければいいですか?」デリケートな話題への上手な接し方を専門家が指南
体と同じく、ココロも健やかな状態でいたいものだけど、メンタルケアはなにかと根性論や「気の持ちよう」で語られがち。悩みは、実は心理学的なテクニックで対処できるものも多いという。そこで、臨床心理士の南舞さんが、読者のお悩みに具体的な対処法をレクチャー。 【写真】シングルマザー15人が語る、離婚してわかったこと 今回は、38歳の女性からのお悩みについて。
離婚した友人になんて声をかけてあげるべき?
相談者・Iさん 先日、久しぶりに会った親友が離婚したと報告してくれました。多分、すごく落ち込んでいるのに彼女はあまり感情をオープンにするタイプではないので、自分からその話をしてくれません。家庭のナイーブな話だし、あまり踏み込むのも良くないかなと思いつつ、彼女の役に立ちたいです。なんで声をかけてあげれば良いのでしょう? 臨床心理士・南さん Iさん、お悩みありがとうございます。お友だちが感情をあまり表に出さないタイプなのだとすると、どう声をかけてあげようかとか、どう寄り添ってあげると良いのか、難しいところですよね。でも、何かしらの形でお友だちの役に立ちたいというIさんの気持ちもとてもよく分かります。 お友だちはもともと感情をオープンにする方ではないとのことだったので、いろんな想いを抱えていても、自分の気持ちを言葉にするのが得意でないからあまり話をしないということもあるかもしれませんね。 あるいは、この先は文面からの推測になってしまうので、可能性の一部として捉えてもらいたいのですが、お友だちが感情を表に出さないのは、心理的な防衛が働いているからかもしれません。例えば離婚のような、大きなストレスや痛みを目の前にした場合、人はその感情に直面することを避け、冷静に振る舞おうとしたり、これ以上傷つかないように自分を守ろうとすることがあります。このメカニズムを心理学の中では【防衛機制】と言い、心の安定を保つために必要な役割と考えられています。 Iさんのお友だちのケースで考えると、もしかしたら今は自分の心の安定を保つために、感情を表出しないという選択をとっているのかもしれません。ですので、今Iさんがお友だちにできることとしては、「話をしないという選択を尊重すること」なのだと思います。 心理カウンセリングの重要な概念のひとつに「無条件の肯定的関心」というものがあります。これは、相手を評価したり、条件をつけたりすることなく、そのまま受け入れる態度のこと。お友だちが感情を出さないからといって「本当はどう思ってるの?」など追求するのではなく、彼女がどういった態度であれ、そのままを受け入れる姿勢を持つことが大切だったりします。まさにIさんは今、お友だちの様子を見守っていて、離婚の話には触れていないと思うのですが、それで良いのではないかと思いますし、そして何より、Iさんがお友だちに対して「彼女を案じている」という姿勢を傾けている、そのことだけでも十分に役立っていると感じました。