イーサリアム、ステーキングの未来は──次期アップグレードとリステーキングがもたらす影響
イーサリアムブロックチェーンはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロックチェーンにおいて最大の時価総額を誇る。現在、3250万ETH(99億ドル、約1兆5250億円、1ドル154円換算)がステーキングされ、2023年4月に実施された「上海(Shanghai)」アップグレード以降、ステーキングされたイーサリアムは78%増加している。 ステーキング量は著しく増加しているものの、市場に流通しているイーサリアムの27%しかステーキングされていない。対してソラナ(SOL)やカルダノ(ADA)、SUI、アバランチ(AVAX)、アプトス(APT)などのPoSネットワークでは、48%~81%と高い数字になっている。 別の見方をすれば、レイヤー2ネットワークとDeFiプロトコル上の流動性ステーキングもしくは流動性リステーキングの普及が契機となり、イーサリアムのステーキングは今後さらに増加する余地があるといえる。
EIP7251がもたらす影響
イーサリアムの次期アップグレード「ペクトラ(Pectra)」は2024年末か2025年初めに予定されている。 実装される重要な提案事項のひとつ、EIP7251は、バリデーターがステーキング利回りを獲得するためのUX(ユーザー・エクスペリエンス)向上を図るものだ。EIP7251ではバリデーターがステーキングできるイーサリアム数が32ETHから最大2048ETHまで引き上げられる。コインベース(Coinbase)のような大手ステーキング・サービスプロバイダーはすでに13万以上のバリデーターを有しており、引き上げによってバリデーターを統合でき、最終的には効率の向上と稼働コストの削減を実現することができる。 もうひとつのメリットとしてソロ・ステーカーがステーキング報酬を自動で複利運用できることがある。現在、ソロ・ステーカーの報酬は自動的に実行レイヤーに送られるが、送られた報酬はステーキング利回りを生み出さない。ソロ・ステーカーは32ETHを貯めるまで待ち、別のバリデーターを立ち上げて、ステーキング報酬を獲得する必要がある。