鉄道旅の愉しみ「駅そば」名店に聞く味のこだわり 三島駅の「桃中軒」と我孫子駅の「弥生軒」
■弥生軒(常磐線・我孫子駅など) JR常磐線と成田線が接続する我孫子駅。東京メトロ千代田線から直通してくる列車も大半はここで折り返す、常磐線にとって我孫子駅は要所となる場所だ。 そんな我孫子駅には、鉄道ファンを中心に人気を集める駅そばがある。我孫子駅のホームには4・5番線ホームに1店舗。1・2番線ホームに2店舗の、合計3店舗ある。 なぜ、この店の駅そばが有名になったのか? それは、トッピングメニューである唐揚げのボリュームとおいしさによるものだ。
もちろん、つるりとした麺ののど越しや濃口の汁の味もさることながら、この唐揚げの大きさはすごい。「どんぶりからはみ出す大きさ」。人の顔ぐらいの大きさである。 定番は、「唐揚1個そば」(490円)だが、体力勝負の撮り鉄やこれから仙台方面へ普通列車で行こうとする旅人は、「唐揚2個そば」(660円)がおすすめである。この1杯を食べただけで、その日は夕飯さえも考えなくて良いくらいお腹を満たしてくれる。 なぜ、こんなにもボリューミーな商品になったのか。また、このリーズナブルな価格の秘密は何か、弥生軒の植崎和基社長に聞いてみた。
――大きなサイズの唐揚げそばはどのように思いついた? 「唐揚げの前に、イカ天そばをやっていました。最初はイカ天そばを売っていたのですが、イカが高騰して仕入れ値がどんどん高くなりまして、それに代わるものとして、ゲソ天とかさまざまやりました。みんなで話して考え、いろいろやった後に唐揚げだったと思います。もう30年以上前の話です」 ――いつから丼ぶりからはみ出すほどの大きさになった? 「最初はあんなに大きくなかった。もっと小ぶりの唐揚げを2個付けて売っていました。当時は小さい唐揚げ2個でしたが、売れ行きが良くなって1個売りもしてみようとなり、1個の値段でいくらという風に、販売を始めました。それから、どんどん大きくなっていきました。1個だから小さくしないほうがいいと。もも肉を叩いて下味を付けて、半分にカットしました」