開封後のお好み焼きミックスでアナフィラキシー!? 日常に潜む意外なアレルギーのもと(専門家が監修)
アレルギーを引き起こす物質は数知れず。発症するのはいやだが、ただ恐れるのもバカらしい。食物から金属、そして不耐症まで。その特徴は? 注意すべき点は? 今回は、日常に潜む意外な食物アレルギーの原因について深堀り。食物アレルギーは基本的には幼い子供で起こるものと思いがちだが、実は大人も注意したい。まず敵を知ることから始めよう。[監修/伊藤浩明(あいち小児保健医療総合センター センター長) 参考文献/『食物アレルギー診療ガイドライン2021』(一般社団法人日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会)]
教えてくれた人:伊藤浩明さん
いとう・こうめい/あいち小児保健医療総合センター センター長。米国留学、国立名古屋病院小児科などを経て現職。日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会副委員長として『食物アレルギー診療ガイドライン2021』を監修。医学博士。
エリスリトール
ゼロ系飲料やゼリーなどに添加されるエリスリトールも食物アレルギーの誘因になり得る。 エリスリトールは天然の糖アルコールの一種。メロンやブドウなどの果物、醬油や味噌やワインなどの発酵食品にも含まれており、発酵技術で作ったものを食品添加物とする。自然な甘みを持つ砂糖の代替品で、カロリーゼロで血糖値も上げないため、ダイエットや糖質制限をしている人たちに好まれている。 エリスリトールでなぜアレルギーが起こるのか。糖アルコール単独によるものか、糖アルコールとタンパク質などの相乗作用で生じるものか、その発症メカニズムはまだわかっていない。必須の栄養素ではないから、症状がある人は摂取を控えて。
コチニール
女性などが赤い口紅やアイシャドウといった化粧品を使った後、やはり赤い明太子やカマボコなどを食べると、全身アレルギーを起こすことがある。 これは、化粧品に含まれる色素成分が皮膚から入ったのち、同じ成分を食べることによる合わせ技で生じる交差反応。 反応を起こすのは、化粧品や食品に用いられる赤色色素コチニール。コチニール色素は、南米産サボテンに生息する雌のエンジムシ(コチニールカイガラムシ)から抽出される。天然色素の大半は植物由来だが、コチニール色素は珍しい昆虫由来。 コチニール色素の本体は、カルミン酸。アルミニウムを加えて安定化させたものをアルミンと呼ぶ。だが、アレルゲンとなるのはカルミン酸でもカルミンでもない。原材料のエンジムシに由来する微量のタンパク質がアレルゲンと考えられる。