「つながりを”作り出す”」時代の先端を走った作家・森崎和江 3回忌にファン集まる
■半世紀を超えて読み継がれる森崎和江 森崎さんは、筑豊の炭鉱で働く人たちを支える活動に参加していくのですが、挫折した後、後半生では日本全国を旅して取材をしていったノンフィクション作家です。森崎さんの著作は近年、復刊が相次いでいます。特に『からゆきさん』はおすすめで、ここから入っていくと、森崎和江を学ぶにはよいのではないでしょうか。今だからこそ学んだ方がいい女性作家だと思います。 【近年復刊された著作】 (1)『からゆきさん異国に売られた少女たち』(朝日文庫、税別620円) 16歳で朝鮮に売られ、狂死したキミ。東南アジアで財を成し、壮絶な自殺を遂げたヨシ。ふるさとを思い、売られていった女たちが、異国の地で見た夢は何だったのか?綿密な取材と膨大な資料をもとに、「からゆきさん」の軌跡を辿ったノンフィクションの金字塔。(解説:斎藤美奈子) (2)『まっくら女坑夫からの聞き書き』(岩波書店、880円) 筑豊の地の底から石炭を運び出す女性たち。その逞しい生き様を記録したデビュー作。(解説:水溜真由美) (3)『闘いとエロス』(月曜社、税別2600円) 谷川雁との共感と絶望、伴走と訣別を、闘争内の性暴力事件を中心に描き出し、性と組織の困難に切り込む、読み継がれるべき問題作。初版1970年。(解題:大畑凜「困難な書」) (4)『非所有の所有――性と階級覚え書』(月曜社、税別2400円) 『まっくら』以後、筑豊での性と階級が交差する闘いのなかから既成のものにかわる新たなる概念を生みだす格闘の軌跡。初版1963年。(解題:大畑凜「弁証法の裂け目」) ■◎神戸金史(かんべ・かねぶみ) 1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、長崎支局で雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。ニュース報道やドキュメンタリーの制作にあたってきた。23年から解説委員長。最新の制作ドキュメンタリーは、『リリアンの揺りかご』(映画版、80分)。
RKB毎日放送