「つながりを”作り出す”」時代の先端を走った作家・森崎和江 3回忌にファン集まる
詩人でノンフィクション作家の森崎和江さんが亡くなって2年が経つ。戦後の社会に大きな足跡を残した森崎さんをしのぶイベントが6月末に福岡市で開かれた。7月9日、RKBラジオ『田畑竜介GrooooowUp』に出演した、RKB毎日放送の神戸金史解説委員長が、イベントで登壇した文学研究者たちが語った森崎和江の評価について伝えた。 【写真で見る】時代の先端を走った作家・森崎和江 ■森崎和江の視点で作られたドキュメンタリー上映 福岡県宗像市在住の詩人でノンフィクション作家の森崎和江さん(当時95歳)が2022年6月15日に亡くなって2年が経ちました。3回忌にあたり、「森崎和江終わりのない旅」(主催:西南学院大学ことばの力養成講座)が6月29日、福岡市の西南学院大学で開催されました。森崎さんに関わるRKBとNHKのドキュメンタリーも特別上映され、150人が集まりました。 森崎さんは1927年(昭和2年)に朝鮮で生まれました。父親は、日本の植民地だった朝鮮で教師をしていました。森崎さんは1944年、17歳で現在の福岡女子大学に進学して初めて内地で暮らし、敗戦を迎えました。 イベントではRKBのディレクター・木村栄文が制作したドキュメンタリー『月白の道~戦場から帰った詩人~』(1997年、80分)が上映されました。主人公は、森崎和江さんが帰国後に詩を学んだ医師、丸山豊さんです。丸山さんは戦争中、軍医として南方戦線に従軍し、戦争の悲惨さを目の当たりにきました。『月白の道』の制作にあたって、森崎和江さんは自ら登場しつつ、構成を担当し、番組は森崎さんの視点で描かれました。 『月白の道』の番組ナレーション:敗戦後の久留米の街は、筑後川の川辺へかけて、一面の菜の花でした。私は結核療養所の病室から一年に一、二度、久留米の親元へ帰宅していました。バスの窓から、小さな張り紙が目にとまりました。「母音詩話会諏訪野町丸山医院内丸山豊」心に火が灯りました。この街に詩人がいらっしゃる…