定年後は自宅で「居酒屋」を始める予定です。自宅であればそれほど資金もかからないですよね?
定年後の趣味の1つとして、週末限定でカフェや居酒屋を開業して余生を過ごす方もいます。テレビや雑誌などのメディアで取り上げられて話題を呼ぶケースもあるため、検討している方もいるのではないでしょうか。 定年後に飲食店を開業する場合、自宅や実家の古民家といった場所を改装して開く方法があり、費用を抑えられることから人気があります。今回は、自宅を改装して飲食店を始める際の費用や開業の注意点について解説します。 ▼高齢者の「4人に1人」は働いている!? 平均年収はどのくらい?
自宅で飲食店を始めるなら費用は安く済む
結論として、物件を新たに借りるより、自宅を改装して飲食店を始めるほうが安上がりです。自宅であれば新たに賃貸契約を結ぶ必要がないため、初期費用を大幅に抑えられます。また持ち家なら家賃が発生しないため、売上の損益分岐点が賃貸よりも低くなります。 自宅改装型の飲食店は、初期費用・維持コストの両面でメリットが多いのです。また、飲食店を開業する方のなかには、両親が暮らしていた実家を改装するパターンも散見されます。空き家は放置すると固定資産税が跳ね上がります。定期的にメンテナンスをしていても、維持費がかかることは避けられません。 そのため、空き家の有効活用を目的に、カフェや居酒屋を開くケースがあるのです。なお、飲食店は必ずしも自分で営業する必要はなく、場所だけ作って間借りキッチンとして貸し出す方法もあります。 ■開業費用は500万円以上 自宅を改装して飲食店を開くための費用は、建物の広さや内装のこだわり具合によって大きく変動するため、費用相場を算出するのは困難です。 しかし、少なくとも内装工事や厨房設備といった工程は必要になるため、500万円以上はかかるといわれています。新たに物件を借りる場合と比べれば安く済みますが、ある程度まとまったお金が必要な点には注意しましょう。
自宅を飲食店にするには条件がある
飲食店はどこでも開けるわけではなく、開業してよいエリアや条件が自治体によって定められています。開業を検討する際は、自宅の位置が以下の条件にあてはまっているか確認しましょう。 ■用途地域 用途地域とは、都市計画法にもとづきに土地の用途が定められたエリアのことで、町の区域ごとに決められています。飲食店はどこでも開業できるわけではなく、用途地域によって開業が許されている区域が決まっているのです。 用途地域が商業に関する用途地域ならば飲食店を開業できますが、住居に関する用途地域の場合には厳しい基準が設けられます。条件を満たせば開業自体は可能ですが、多くの場合は狭い床面積で営業しなければなりません。 ■保全対象施設との距離 保全対象施設とは、病院・学校・図書館といった公共施設のことを指します。これらの施設が自宅から一定距離内にあると、特定の業態のお店を開業できません。今回は居酒屋であるため許可される可能性が高いですが、風俗営業に該当するような業態は開業不可とされています。 ■施設基準 自宅を改装して飲食店を始める際、居住スペースと店舗スペースの区分を保健所の定める施設基準に満たす必要があります。例えば、玄関やトイレはそれぞれ別に設けなければなりません。 また、自宅のキッチンと営業用のキッチンを別個に用意するといった条件も課されます。店舗内の設備に関する細かな指定もあるため、要件を満たすように内装工事を行わなければなりません。