「バチバチにいきます」ドラ1左腕が高校の大先輩に関西弁で応戦 ソフトバンク前田悠伍「野球人生の中でない」6失点デビュー
ソフトバンクの選手が、今季を振り返る年末恒例のプレーバック企画「鷹戦士あのプレー」を今年も「西スポWEB OTTO!(おっと)」でお届けします。 ■「あの小さかった真凜ちゃんが…」秋山幸二さん長女が花嫁姿【写真】 最終回はドラフト1位入団の前田悠伍投手(19)が登場。大阪桐蔭高時代は最速148キロの直球に加えてスライダー、チェンジアップなどの変化球も駆使し、高2春の選抜大会では優勝。「世代最強左腕」と称されたルーキーが挙げたのは、1軍デビューを果たした10月1日のオリックス戦(みずほペイペイドーム)で対戦した高校の先輩、森友哉捕手(29)との対戦だった。
「得意な感じのピッチャー。打てるわ」高校3年時に言われ…
大先輩とのプロでの対戦は、自らの成長を試す絶好の機会であり、楽しみでもあった。「きれいな真っすぐで、得意な感じのピッチャー。打てるわ」。高校3年だった昨冬、母校を訪れた森とキャッチボールをした際にそう告げられたからだった。 〝駆け引き〟は試合前日から始まっていた。森にあいさつした前田悠はこう宣言した。「絶対、抑えます」。それを聞いた森は「バチバチに抑えにくるん?」と関西弁で〝応戦〟。「バチバチにいきます」と前田悠も挑んだ。 「3番指名打者」の森と初回2死で初対戦した。初球のスライダーは外角低めへのボール。2球目もほぼ同じコースのスライダーで二ゴロに打ち取った。「打ち取ったわけではなく、打ち損じてくれただけ。2打席目にしっかり抑えようと思った」と振り返った。 5本の長短打を集められて4失点した2回は森との対戦はなく、3回に森との2度目の対戦が訪れた。初球は直球が真ん中高めに外れ、2球目も外角低めの直球がボールとなった。2ボールから真ん中低めのスライダーで空振りを奪ったが、続く4球目で外角低めの直球を左前に運ばれた。 「コースを丁寧についていく意識を持っていた。2ストライクに追い込めずにカウントを悪くして、甘く入って打たれてしまった」。そう反省した左腕は、続くセデーニョに初球のチェンジアップを左越えの2ランとされた。 記念すべき1軍初登板は、3回で56球を投げて8安打6失点。チームが逆転勝ちして黒星はつかなかったものの「野球人生の中で(6失点は)ないと思う」。ウエスタン・リーグでは12試合に登板して4勝1敗1セーブ、防御率1・94と安定した力を見せたが、1軍ではプロの洗礼を浴びた。 それでも、この試合を選んだのは「結果は良くなかったけど、1軍レベルを体感できた。自分のレベルの足りなさに気付けた試合で、思い出に残っている」からだ。 森の存在も特別だった。「高校時代から活躍されていて『大阪桐蔭の顔』と言ってもいいくらいの選手。ポジションは違っても、ずっと1軍で活躍されていて尊敬するし、同じチームでやりたい気持ちも、対戦して抑えたい気持ちもある」。 試合後は森と言葉を交わす機会はなかった。来季以降に対戦する時は、こうあいさつする。 「次は抑えます」 (浜口妙華) 【#OTTOソフトバンク情報】