麻布台ヒルズ「ジャヌ東京」の魅力 アマンの姉妹ホテル、8つのダイニングにライブ感
■ライブ感あふれるムードが魅力の8つのダイニング
気になるダイニングはというと、レストランとバーが併せて8つ。すべて「ジャヌ東京」が運営している。興味深いのは、いずれもオープンキッチンやカウンターを通して、シェフやスタッフとのコミュニケーションを楽しめること。これは躍動感あふれるムードを演出するだけでなく、人と人とのつながりをさりげなく生み出す仕掛けでもある。また、ほとんどのダイニングがヴィーガンに対応しているあたりも時代を感じさせる。 1階の「ジャヌ メルカート」はイタリアのにぎやかな市場がコンセプト。3つのライブキッチンで新鮮な魚介類や季節の生パスタなどが調理される様が活気にあふれ、このあたりも「アマン」のダイニングの静けさとは対照的だ。麻布台ヒルズの中庭に面したテラス席もあり、そちらは愛犬も同伴できる。 隣接する「ジャヌ パティスリー」は大理石とオークウッドが調和したエレガントな空間。シグネチャーとなるバラをイメージしたケーキ「タルニー」をはじめとするスイーツはいずれもきび砂糖や和三盆を使用していて、優しい甘さ。グルテンフリーやヴィーガンにも対応している。 赤を基調としたインテリアが人気の「虎景軒(フージン)」では、広東料理の技法をベースにアップデートしたメニューを提供。あえてシェアスタイルを薦めているのも「ジャヌ東京」らしい。シグネチャーの北京ダックや本場の点心師による点心などをアラカルトで、ナチュラルワインと共に味わいたい。 この他、国産牛やシーフードなどのグリル料理を楽しめる「ジャヌ グリル」、アフタヌーンティーやテラスでの軽食で人気の「ジャヌ ラウンジ & ガーデンテラス」、江戸前すしの伝統を再解釈したすし店「飯倉(いいぐら)」、モダンな炭火焼きと日本酒やプレミアムワインとのペアリングが魅力の「SUMI」、日本を代表するミクソロジストの南雲主宇三氏監修のカクテルを堪能できる「ジャヌ バー」と、気分や目的、人数に合わせてあれこれチョイスできる選択肢の多さも、ゲストを引き付けるポイントだ。 「ジャヌ東京」の館内を巡っていると、ここがホテルというより、もはやひとつの街であるかのようにも感じられてくる。街にはコミュニティーがあり、そこでは人と人とのつながりが生まれ、その場所ならではの文化が育っていく。これから新たな価値を創造し続けるであろう「ジャヌ東京」は、新型コロナウイルス禍を経て、リアルなつながりや体験を重視する人が街に戻ってきた今の時代にふさわしいラグジュアリーホテルといえるだろう。 文:志村香織(ライフスタイルエディター&ライター、カラーセラピスト)
志村香織
『mcシスター』『エル・ジャポン』などの編集部を経て独立。ウェルビーイング(心身の健康や幸福)をテーマに執筆や編集ディレクションを行う一方、オーラソーマやカードリーディングなどの個人セッションを提供するサロン「drop’dee」を主宰。色彩心理に関する執筆や講演も。