ネットの匿名性は保証されるのか? 「2ちゃんねる」個人情報流出事件
国内最大規模のインターネット掲示板として広く知られている「2ちゃんねる」の有料サービス「2ちゃんねるビューア」(通称:●)で、大規模な個人情報流出が発生しました。運営会社のN.T.Technologyによると、外部からの不正アクセスを受けて流出したのは、2011年7月29日 20:51:37~2013年8月11日 16:42:20にかけてクレジットカード決済で新規申し込みを行ったユーザーおよび、コンビニ決済で申し込んだユーザーの個人情報。メールアドレスをはじめ、クレジットカード情報や氏名、住所、電話番号など約3万7000件とされています。
流出の被害と影響は?
今回の個人情報流出はどのようにして発生したのでしょうか。N.T.Technologyの説明によると、2ちゃんねるのサーバに組み込まれたデバック用のシステムが、2ちゃんねるビューア経由の投稿をログとして蓄積しており、その情報が外部からの不正アクセスで流出したと見られています。 今回の情報流出で最も特徴的なのは、クレジットカードなどの本人情報に加えて、掲示板に対する投稿履歴を関連付ける情報、そして2ちゃんねる内で同一人物の証明用に使われる「トリップ」や「記者キャップ」などが同時に流出・公開されたことです。これにより、本来“匿名”であるはずの掲示板で、過去1ヶ月程度に誰がどのような投稿を行ったのかが分かる状態になってしまいました。 中には、誹謗中傷を繰り返す“荒らし”行為をかなり著名な人物が行っていたことまで発覚し、謝罪する羽目に陥っているケースも見られます。また、著名人だけでなく「会社の悪評を書きまくってたことがバレたらクビに…」「宗教団体に喧嘩を売りまくってしまった…」「周囲に隠していた性癖が…」など、戦々恐々としている一般ユーザーもいるようです。実際、流出した個人情報を基に面白半分で本人の特定や晒し上げを行ったり、会社から任意退職を勧められた、家にいたずらをされたといった報告も出ており、事態はさらなる被害拡大の様相を呈しています。 そもそも2ちゃんねるビューアとは、2ちゃんねる上でいくつかの特典が得られる有料のサービスです。2ちゃんねるでは、荒らしなどの迷惑行為が発生した際にアクセスをプロバイダ単位で規制しますが、一番のメリットはこのアクセス規制中でも書き込めることでしょう。また、発言数やデータ容量が規定数を超え、一定時間が経過して閲覧できない「dat落ち」状態のスレッドも閲覧できるほか、スレッド作成時の規制および連続投稿に関する規制緩和などもあります。