電通が今後の AI 戦略を発表。キャッチコピー生成の新プロダクトやAIガバナンスの整備も紹介
課題となるガバナンスの整備
一方で、AI活用におけるガバナンスの整備も、近々の課題であることに間違いはない。国内電通グループでは、世界に拠点を持つグループ全体のAIポリシーと、日本の状況に沿ったガイドラインという二重の体制で運用しているようだ。同社のAIサービス利用ガイドラインをを要約すると、主に以下の3点に集約される。 システムとデータの管理 安全性と透明性の担保 確実な運用体制 具体的には、取り扱いに注意が必要な個人情報や機密性が高い情報の入力は不可、AIで生成されたコンテンツを取引先などの社外へ提供する場合は必ずその旨を付記して合意を得るなどに加えて、活用においては通常の広告業務と同様かそれ以上の登録商標・登録意匠の類似性をチェックし、生成結果そのままの利用ではなく、加筆修正による独自性の担保を推奨するという。 また、誤情報の確認を必ず実施し、コンテンツの粗製乱造も禁止する。加えて、AIガバナンスコミッティの組成と電通ジャパン全案件への対応窓口を設置しているようだ。
「創造的思考モデル」の導入
説明会ではこうした同社のAI戦略に加え、同グループ内でのクリエイティブ活用を目的とした新AIプロダクト「AICO2」も発表された。「AICO2」はコピーライターが考えたコピーだけではなく、コピーライターの意図や思考プロセスも学習させたキャッチコピー生成テクノロジーだ。 従来の「AICO」(2017年リリース)はキャッチコピーのパターンを学習し、文法のパターンなどを適用したうえで出力されていたが、今回のバージョンアップはライターの思考回路やノウハウを学習させ、より心の琴線に触れるようなコピーを生成できるようになったという。 クリエイティブ領域におけるAI活用について登壇した電通 CXクリエーティブ・センターセンター長の並河進氏は、「当社のクリエイターおよびプランナーの創造的な思考を学習させた画期的な人工知能モデルを『創造的思考モデル』と呼んでいる。今後、このモデルをさまざまなAI活用に導入・検証していく」とした。 Written by 島田涼平
島田涼平