母親は「月8万円」程度しか年金をもらえないようです。仕送りはできませんが、自分の扶養に入れてあげることで助けになりますか?
扶養に入れるためには仕送りも必要
今回の相談で、Aさんは「母親を扶養に入れたい」と望んでいました。しかし別居の親を扶養に入れるためには、「生計を一にする」という要件があります。この要件を満たすには、仕送りをして生活を支えていることが必要になります。ただ単に扶養に入れるというわけにはいきません。 しかし扶養に入れることで、母親は健康保険料の負担がなくなり、年金からの手取りも多少増えることになります。さらにAさんも所得税や住民税の扶養控除が増え、手取りが増えることになります。 今回はそれらのメリットを踏まえ、Aさんへは定期的に母親に仕送りをするよう伝えました。
余談;自分たちの生活も見直す
今回の相談では、もうひとつ考えておきたいことがありました。それは生活費を見直し、仕送りの費用を捻出することです。Aさんは生活費を切り詰めようと思っていても、何に手を付けていいか分からずに、悩んだまま昔のままの生活を送っていたからです。 まず、現在の生活に少しは余裕が出てくるのではないかと考え、住宅ローンの見直しを提案しました。借り入れた時期によっては、現在の住宅ローン金利のほうが安くなっている可能性もあったからです。仮に手数料を含めた月々の返済が少なくなれば、母親への仕送りに回すことができます。 また、Aさんは家族で大手キャリアの携帯電話を契約しており、家族割りなどの割引が多いこと、乗り換えの手間も面倒だったこともあり、プランを見直さないまま継続していました。その点についても、見直しの余地があるのではないかと考え、アドバイスを行いました。 例えば、子どもたちは動画などを見るので通信料が多くなる傾向にありましたが、Aさんご夫婦は毎月通信量が余っていました。プランの見直しのシミュレーションを行うことや、キャリアを思い切って変更して格安スマホにすることで、毎月の携帯電話料金を大きく削減できる可能性があると伝えました。
まとめ
Aさんは単に、「扶養に入れてしまえば、年金しか収入のない親の負担も減るのではないか」と思われていましたが、扶養には「生計を一にする」という要件があり、仕送りなどをする必要があります。まずは必要に応じて自分たちの生活も見直しながら、親へ仕送りして扶養に入れることがよいでしょう。 人生100年時代と言われるようになってきていますが、現役時代の生活水準を、老後に入ってから急に落とすことは難しい場合が多いです。ライフプランを立てたうえで、家計の健全性を築いていくことも大切です。 出典 厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 執筆者:吉野裕一 夢実現プランナー
ファイナンシャルフィールド編集部