「中国ビザ免除」再開で現地駐在員は虎視眈々…”本番アリ”の店で接待も!”本帰国直訴”の修羅場と化す、ヤバすぎる「出張アテンド」現場
「国防動員法」への対応はどうする
最近ほとんど話題にならないが、2010年7月1日に中国が施行した『国防動員法』への対応も、日本企業はうやむやにされてきた。中国政府がひとたび「有事だ」と判断すれば、対中進出している日系企業も含め、中国のあらゆる組織の資産接収がすでに合法的に可能になっている。 「有事の際には、外務省職員やその家族が人質になる危険性も排除できません。そのため内規で、中国人の夫なり妻がいる場合は、日本人に帰化してから赴任するようになっています。私の知るかぎり、通信社や全国紙などの大手メディア機関では同等の対応をしているはずです。 外向けにアナウンスしない理由? 外交を司る側がすすんで波風を立てるわけにはいかないでしょう。 そもそも国際社会から非難を浴び、経済的にも損失の大きいはずの『国防動員法』を中国がそう簡単に発動するはずがない。そうさせないための努力を怠らないのが、外交の存在意義です」(前出・元外務省局長) 「国家安全」を最重要視する習近平政権は、国防動員法に続き、2014年に『反スパイ法(中華人民共和国反間諜法)』を制定している。 昨年3月、アステラス製薬の駐在員である日本人男性(50代)が、北京で中国当局によって同法違反の容疑で拘束。今も取り調べ中の身だ。
拘束邦人解放で雪解けムード演出か
「中国ビザ免除再開に併せて、中国側はアステラス製薬駐在員の裁判プロセスを早め、判決が出たら即国外追放というかたちで釈放するのではないかという話が出ています。事実上の釈放を装った、雪解けムードを演出するのための露骨な人質外交です」(日中友好協会関係者) 日中双方の様々な思惑が絡む中国ビザ免除再開。11月末、中国に進出する日系企業でつくる「中国日本商会」が3ヵ月に1度行っている調査では、日系企業の60%以上が「中国の景気は悪化する」と回答したという。アステラス製薬の駐在員は、この中国日本商会の副会長を務めたベテラン駐在員でもあった。 捏造された安易な雪解けムードに踊らされることなく、まずは中国ビジネスで苦楽を共に味わってきた現地駐在員の意見に、真摯に耳を傾けてほしいと著者は思う。物見遊山気分の中国出張は、火に油を注ぐだけだ。 【さらに読む】『腹部や太腿を何度も刺され…深圳の「日本人学校」で起きた「悲劇の闇」が深すぎる!現地では、献花さえも“仕込み”が疑われる「悪循環」が始まった!』
北上 行夫(香港メディア関連会社ファウンダー)