筑波大学のクリエイティブ集団「TL!クリエイターズ」彼らが作る未来の大学スポーツとは
TL!クリエイターズが未来の大学スポーツをつくる
野条さんはTSUKUBA LIVE!の課題についてこう話す。 「やってて感じたのは、日本人って楽しんだり感情を解放するのが苦手だなってことです。大学で留学生と一緒に生活してると、彼らは違うんですよね。感情を止めずに出すし、ものを楽しむのにも凄く楽しむんです」 彼が特にそれを感じたのは、昨年インターンで訪れたアフリカの地だった。アフリカでは会う人みんなが陽気で、毎日を楽しんでいた。 「それで日本に帰って周りを見ると、みんな感情を表に出さないし、楽しい時も感情を爆発させるってこともない。そんな日本でどうすれば皆が感情を爆発させて、ホームゲームで自然と応援するようになるだろうと考えてきました」 その答えが「本気で応援席」だった。この席は事前に応援のレクチャーを行い、試合中は応援団やスタッフと一緒に率先して応援をしてもらう席だ。会場では本気で応援席の盛り上がりに釣られて、観客が自然と応援することを狙っている。そしてこの取り組みは野条さんが昨年経験したある出来事がきっかけになっていた。 「昨年のTSUKUBA LIVE!で、僕の友達が応援をめっちゃ頑張ってたんです。1人で声が枯れるくらい大声出して、本当に一生懸命やってました。そしたら、段々周りの人たちも釣られて応援し始めたんです。それを見て、誰かが先頭切ってやれば周りも動き出すんだ、TSUKUBA LIVE!でその空気を作っていけばいいんだと気づきました」 野条さんたちの取り組みは成功し、本気で応援席を初めて設置したTSUKUBA LIVE!ではこれまで以上に観客が一体となって大声援を送ったそうだ。
TSUKUBA LIVE!では観客に部のOB/OGなど関係者が少ない分、会場全体で応援する空気を作り出す仕組みがより重要になる。そして野条さんが話す「誰かが先頭切ってやる」は彼らの活動そのものにも当てはまる。 「大学が開催するホームゲームは、まだ日本での事例も少なく、馴染みのないものです。だからこそ自分たちが先頭切ってやって全国に発信して、僕たちを起点に他の大学でもやって貰いたいです。そしていつか全国の色々な大学でホームゲームが行われて、それぞれの地域の学生、地域の人たちが自分のホームを見つけられる。それが僕たちの最終目標であり、目指す未来の大学スポーツの姿です」 最近では彼らの活動を含めたTSUKUBA LIVE!を全国から様々な大学が見学に来るようになっているそうだ。彼らの活動はゆっくりと、しかし着実に広まっている。そう遠くない将来、きっと彼らの目指す未来の大学スポーツが実現されていることだろう。 (取材・文:三原 元)
三原 元