客足まばら&低価格な「場末のスナック」が“それでも潰れない”ワケ【登録者数50万人/税理士YouTuberが解説】
お世辞にも繁盛しているように見えない「場末のスナック」が潰れないのは、一体なぜなのでしょうか? チャンネル登録者数50万人を超える税理士YouTuber、菅原由一氏の著書『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
スナックは、実は「サステナブル(持続可能)な経営」の一例
集客や収益が安定したサステナブルな経営がしたい。そう考える人には、スナック経営が参考になるかもしれません。 スナックはお酒を提供する店ですから、その点では居酒屋と同じです。また、ママやチーママと呼ばれる女性スタッフが接客しますから、キャバクラやガールズバーとの共通項もあります。ただし、いくつかの特徴があり、その特徴を活かすことで市場内での差別化を図っています。
スナックは「出店・運営にかかるコスト」が安い
規模の点から見ると、スナックは居酒屋やキャバクラなどと比べて小規模で省スペースです。また、居酒屋やキャバクラが繁華街に多く出店しているのに対し、スナックは少し離れた場所にあることが多く、住宅街の端に店を構えているケースもあります。 このような違いから、スナックは開店コストも、家賃など運営にかかるコストも安く収まります。店の運営コストはほぼ固定で出ていくお金ですから、安くすることがサステナブルな経営に結びつきます。
「1対n」で接客するから人件費も安い
業態の点から見てもコストの強みがあります。居酒屋と比較すると、居酒屋は料理メニューが豊富で、その分だけコストがかかります。 一方のスナックは、スナック(軽食)を提供するスナックバーが語源で、料理のメニューが限定的であるためコストが低くなります。 キャバクラは高コストです。キャバクラは女性スタッフがお客さんの隣に座って1対1に近い形で接客をするため、きれいな女性を何人も雇う必要があります。また、店内をきらびやかに装飾する必要もあり、これらがコストを押し上げます。 一方のスナックはママやチーママがカウンター越しに会話する1対n(複数)形態の店が多く、人件費が低くなります。運営コストが低ければ価格設定も低くできます。 また、こぢんまりとした店は落ち着いて飲めますし、ママなどとの距離も近くなります。お客さん側から見ると、スナックは、安く、落ち着いて飲めることが長所で、それが他の食店との差別化要因になっています。 細かな話ですが、キャバクラやクラブなどのような接待を行う店は風俗営業、接待を行わずにカウンター越しに話すだけの店は深夜酒類提供飲食店営業となり、それぞれ必要な許可が異なります。 スナックの場合も、お客さんと一緒のテーブルについたり、デュエットしたりする場合は風俗営業の扱いになります。