気づいたら減速? ドライバーが自然にスピードダウンする「視覚トリック」をご存じか
逆走防止に効く立体標示
道路に描かれただまし絵のような路面標示「イメージハンプ」をご存じだろうか。これは、平面の図柄を立体的に見せる手法で、道路脇の縁石や交差点などに設置されていることがある。 【画像】「えっ」これが50年前の「海老名SA」なの!? 驚きの変貌ぶりをチェック! だまし絵と同じ技法を使っているが、目的はあくまでアートではなく、生活道路で頻発する交通事故を減らすために速度を下げさせることだ。 イメージハンプは、ドライバーがアクセルから足を離す程度の驚きを与えるようにデザインされており、その大きさや形状、デザインには工夫が施されている。実際、広島市安佐北区口田地区でイメージハンプが設置されたところ、設置区間の平均速度が時速25.1kmから時速22.9kmに下がり、時速30kmを超える速度を出す割合も35.5%から30.1%に減少した。 さらに、単に速度を下げるだけでなく、 ・ショートカット走行 ・逆走の防止 にも役立っている。例えば、長崎自動車道の川登サービスエリア(SA)下りでは、ドライバーが逆走していることに気づかせるために 「立体的に見える反対向きの矢印」 を設置。また、国道178号線の岩美道路などでは、「逆走危険」の立体的な看板が浮き上がるイメージハンプが設置され、ドライバーに注意を促している。 このように、事故防止対策として効果を上げているが、その理由は何だろうか。
事故防止に効果がある理由
多くのドライバーは、無意識に視覚情報をもとに速度を調整している。制限速度を守るべきなのはわかっていても、つい 「これくらいなら大丈夫だろう」 と自分の感覚で速度を決めてしまうことがある。 例えば、制限速度が時速50kmに設定されている道路でも、車幅ギリギリまで塀が迫っている場所では、ほとんどのドライバーがその速度を守ることはないだろう。自然に速度を落として運転するのが一般的だ。 この傾向を利用して、イメージハンプは速度を下げさせる錯覚を作り出している。ドライバーの 「無意識」 に働きかけ、速度を落とさざるを得ない状況にする仕組みだ。 制限速度や「徐行」などの文字を道路に書く方法は、意識的に減速を促すものだが、イメージハンプは無意識のうちにドライバーに影響を与え、減速を促進する。そのため、事故防止に効果的だといえる。