阪神が抱えるセカンドという死角
三宅さんは、引退した元ヤクルトの宮本慎也をどう育てたかという裏話を、元阪神、ヤクルト監督の野村克也さんから聞かされたことがあったという。宮本は、入団当時、バットが振れず、バッティングは、まったくプロのレベルで通用しなかった。だが、ノムさんは、守備力を評価した上で、「強い打球、特にゴロを打つことと、バントをしっかり決めることだけやればええ」と、宮本に命じて使い続けた。もちろん、宮本の努力もあったが、使い続けることで、その経験が肥やしとなり、のちに2000本安打を記録するほどの名手に成長したのである。 プロの世界では、勝負と育成の両立は永遠のテーマとされている。現場としては日々、ベストの起用法を摸索するのは当然だが、西岡、上本が復帰するまでの期間は、若手育成のための絶好の機会と割り切って考えるのも、ひとつの手段ではないだろうか。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)