パチンコ業界「スマパチ限定のラッキートリガー出玉緩和」で“高射幸性の時代”に突入 一方で浮上する“楽しみたいユーザー”離れの懸念
1990年代中頃のピーク時は、市場規模30兆円超と言われていたパチンコ・パチスロ業界。しかし、現在の市場規模はその半分程度であり、パチンコホールの減少傾向も続いている状態だ。厳しい時期が続くパチンコ・パチスロ業界だが、今後はどうなるのか。本記事では、人気機種の動向などから2024年のパチンコ業界を振り返り、2025年のトレンドを展望する。【前後編の前編】 【画像】2025年2月にホール導入予定『e蒼天の拳 羅龍』基本スペック
パチンコ・パチスロの機種情報やホールに関する情報を発信するサイト『パチンコビレッジ』は12月16日、「パチンコ・パチスロ販売実績2024」を発表した。パチンコビレッジの調査によると、2024年のパチンコ総販売台数は78万5000台で、前年比81%だった。2012年以降でパチンコ販売台数が8万台を下回ったのは、2024年が初めてだったという。 また、機種別のパチンコ販売台数ランキングでは、『e北斗の拳10』(サミー)が3万5500台で1位、『Pフィーバー機動戦士ガンダムユニコーン 再来 -白き一角獣と黒き獅子-』(SANKYO)が2万5000台で2位、『eフィーバーからくりサーカス2 魔王ver.』(SANKYO)が2万4000台で3位という結果だった。このランキングについて、パチンコ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏はこう説明する。 「『北斗の拳』シリーズ、『ガンダム』シリーズという、実績のある人気シリーズが販売台数の上位に入るというのは順当なところだと思います。3位の『eフィーバーからくりサーカス2 魔王ver.』は、ラッキートリガー(LT)と呼ばれる出玉機能を搭載した機種で、他の機種と比べて射幸性が高いのが特徴です。ハイリスク・ハイリターンな機種への需要が高まっていると言えるでしょう」(藤井氏、以下「」内同)
ラッキートリガーによって増えた高射幸機種
ラッキートリガーは、2024年3月以降にホール導入された機種から搭載できるようになった出玉機能。ラッキートリガーと呼ばれる状態に突入すると、一時的にそれまでの出玉規制を超える出玉性能が実現できるというものだ。ラッキートリガーを搭載するにはいくつかの条件がある。 「本来のラッキートリガーは“射幸性が低いタイプの機種で一時的に大きな出玉が取れるようになる”というイメージでした。しかし、現在では『eフィーバーからくりサーカス2 魔王ver.』のように、ラッキートリガーの性能をメインとすることで“初当たり確率が低いが、RUSHに入ったときの出玉性能が高い”という機種が増えています。ここ数年のパチンコは出玉性能がかなり制限されていましたが、この1年で一気に射幸性が高い機種が増えたという印象です」 前述のパチンコ販売台数ランキングでは、上位10機種のうち1位の『e北斗の拳10』、3位の『eフィーバーからくりサーカス2 魔王ver.』、4位の『e花の慶次~傾奇一転』は、パチンコ玉に触れることなく遊技できる「スマートパチンコ」、通称「スマパチ」の機種だった。2024年はスマパチの普及が進むきっかけとなった1年といえる。 「ラッキートリガーで実現できる出玉性能は、通常のパチンコ機よりもスマパチの方が優遇されています。つまり、スマパチのラッキートリガー搭載機のほうが射幸性を高くすることは可能で、それがスマパチ普及に拍車をかけている。『eフィーバーからくりサーカス2 魔王ver.』のような射幸性の高さは、基本的にスマパチでしか実現しません。今後も高射幸機種人気が続くのであれば、さらにスマパチが増えていくでしょう」