「適切にもほどがある」若者が入社後に泣いたワケ ビジネスには「ビジネスの適切な価値観」がある
「そんなに無理をして80点とらなくていいから。現況はできる範囲でいいよ」 という姿勢だったらどうか。他の生徒も、 「80点はとりたいけど、息抜きも大事」 「ほどほどに勉強して、うまくいけばいいし、うまくいかなくてもしょうがない」 という考え方だったら、 「この塾では、自分が成長できない」 と受け止めるだろう。体調が悪化するまで頑張るのはイヤだけど、頑張るときは頑張らないと、スポーツだって勉強だって、うまくいかない。そう思っている生徒も多いのである。
先述したドラマ『不適切にもほどがある!』にも、そのような「ゆるブラ」っぽい企業が登場する。まだ不慣れだからうまくいかないだけなのに、 「無理しなくていいよ」 「自分だけで抱え込まないで」 と周りからやたらと気を遣われるのだ。そういった職場の雰囲気に、1986年からタイムスリップした主人公は戸惑う。 とはいえ、昭和時代の価値観を肯定する気はない。 主人公と同じ世代の私でさえ、タイトル通り『不適切にもほどがある!』と思えるシーンはたくさんある。昭和がよくて令和がダメというわけでもないし、その逆でもない。企業が営利を目的としている以上、きつくても、ゆるくてもよくない。
どんなに時代が変わろうと、適切なバランスが大事なのだ。 ■「適切にもほどがある」若者が直面した社会の難しさ 今回のテーマである「適切にもほどがある」若者について解説していこう。大学3年でインターンに来てから、人事部はもちろんのこと配属先の上司からも注目された若者だった。 姿勢や言動はもちろんのこと、チーム全体を見据えた気の配り方、調整のとり方が絶妙だったという。 人事部のトップが「適切にもほどがある」と表現したかどうかは定かでない。少なからず将来「当社を背負って立つ人財になるに違いない」と信じて疑わないほど、均整のとれた若者だった。